Miles Davis / In Europe

タイトルはIn Europeだが、フランス・アンティーブでのジャズ・フェスティバルのライブ録音。なぜにEuropeとしてしまったのか。それより、このアルバムはマイルスを聴くというより、トニー・ウィリアムスを聴かなければならない。1945年12月12日生れのトニーは、この時はまだ17歳!!なのだ。そして、マイルス自身が、トニーのことを絶賛している。以下は、マイル自叙伝②からの抜粋。

「アメリカでの二、三週間のツアーに続いて、南フランスの地中海のニースに近いアンティーブに行って、そこのフェスティバルで演奏した。オレ達は、そこでもみんなを、まいらせた。トニーは、奴のことを知らなかった連中の度肝を抜き、ジャズの出来事ならなんでも知っているという、フランス人のプライドまで吹き飛ばしてしまった。トニーはメンバー全員を、やたら燃え上がらせるんだ。ずっと気になっていた関節の痛みもすっかり忘れてしまうくらい、オレまで演奏に熱中させられた。トニーがいるこのバンドじゃ、なんでも望みどおりの演奏ができた。トニーがいつも、バンドのサウンドの中心だった。トニーを中心に動きまわり、燃え上がった。本当にトニーは最高だった」。トニーによって燃え上がったマイルスを捉えたアルバムである。

1. Introduction
2. Autumn Leaves
3. Milestones
4. Joshua
5. All Of You
6. Walkin'

Miles Davis - trumpet
George Coleman - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on July 27, 1963 at The Antibes Jazz Festival in France.

Miles Davis / Seven Steps To Heaven

2つのセッション(1963年4月と5月)を3曲ずつ交互に配したアルバム。どちらのセッションにも参加しているのは、当然ながらマイルスであるが、ベースのロン・カーターも参加しているのが興味を抱く。そして、ハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムスが5月のセッションに参加。マイルス自叙伝②には、マイルスの昂奮した様子が書かれている。

『オレ達(マイルス、ハービー、ロン、トニー)は、次のレコード〈セブン・ステップス・トゥ・ヘブン〉を終わらせようとしていた。するとハービーは、こう聞いてきた。「それは、僕もあなたのバンドに入れたということですか?」「オレ達と一緒にレコードを作るんじゃないのかい?」。オレは答えた。新しいクインテットは、ものすごいバンドになるという自信が、オレにはあった。彼らはほんの二、三日間であれだけすごくなったんだから、二、三カ月後にはどうなっているんだろうかと、こみ上げてくる昂奮があった』。ここに、黄金クインテットが始動した。

1. Basin Street Blues
2. Seven Steps To Heaven
3. I Fall In Love Too Easily
4. So Near, So Far
5. Baby Won't You Please Come Home
6. Joshua
7. So Near, So Far [alternate take]
8. Summer Night

Tracks 1, 3, 5, 7 & 8
Miles Davis - trumpet
Victor Feldman - piano
Ron Carter - bass
Frank Butler - drums
Recorded on April 16 & 17, 1963 at Columbia Studios, Los Angeles.

Tracks 2, 4 & 6
Miles Davis - trumpet
George Coleman - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums
Recorded on May 14, 1963 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Miles Davis / Quiet Nights

イアン・カー著『マイルス物語』より。「ギル・エバンスは言った。〈あれは出すべきじゃなかったんだ。第一、あれはアルバムの片面だよ。そうしなきゃならないわけがあったのかもしれないがね。〉マイルスは全責任はテオ・マセロにあるとして、カンカンに怒った」。

ここでいう「あれ」とは本作のことである。つまり、演奏者が納得していないアルバムなのだ。それを知って聴いてしまうと、なおさら中途半端なアルバムだと思ってしまう。録音データからも次のことが分かる。Summer Nightをカルテットで録音した前日は、同じメンバーで次のアルバムSeven Steps To Heavenの中の3曲が録音されている。つまり、本アルバムをリリースするのに、曲数が足りないので無理矢理押し込んだ格好になっているのだ。かといって、一曲一曲の出来は決して悪くはないのだが。

1. Song No.2
2. Once Upon A Summertime
3. Aos Pes Da Cruz
4. Song No.1
5. Wait Till You See Her
6. Corcovado
7. Summer Night
8. Time Of The Barracudas

Miles Davis - trumpet
Gil Evans - arranger, conductor
Shorty Baker, Bernie Glow, Louis Mucci, Ernie Royal - trumpets
J.J. Johnson, Frank Rehak - trombones
Ray Alonge, Don Corrado, Julius Watkins - French horns
Bill Barber - tuba
Steve Lacy - soprano saxophone
Albert Block - flute
Ray Beckenstein, Jerome Richardson - woodwinds
Garvin Bushell, Bob Tricarico - bassoons
Janet Putnam - harp
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Willie Bobo - bongos
Elvin Jones - percussion
Victor Feldman - piano (track 7)
Ron Carter - bass (track 7)
Frank Butler - drums (track 7)

Tracks 1 & 2
Recorded on November 6, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Tracks 3 & 6
Recorded on July 27, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Tracks 4 & 5
Recorded on August 13, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Track 7
Recorded on April 17, 1963 at Columbia Studios, Los Angeles.

Track 8
Recorded on October 9 & 10, 1963 at Columbia Studios, Los Angeles.