Miles Davis / Porgy And Bess

ギル・エバンスとの第一作『マイルス・アヘッド』から約1年後にチャレンジしたのは、ガーシュウィンの『ポギーとベス』。マイルスは、この期間にフランスで『死刑台のエレベータ』を一晩で録音、アメリカに戻ってから『マイルストーンズ』を録音して、ニュポート・ジャズ・フェスティバルに出演している。となれば、ギル・エバンスが主となって『ポギーとベス』の構想は練られ、マイルスがアイデアを膨らませていったと想像できる。ちなみに、3曲目のGoneだけがギルの曲である。

前作に比べて完成度はずっと高い。4回だけのスタジオ入りで、これだけの演奏を創り上げるのは、ギルとマイルスならではと言えるだろう。イアン・カー著『マイルス物語』では、マイルスが「今まで一番苦労したレコードだ」と。そして「このレコードは気に入っている。俺だって買うな」とも。決して後ろを振り向かないマイルスが、自分のアルバムを評価している。ということは、ギル・エバンスへの感謝を伝えたかったのかも知れない。ところで、このジャケット。ペットを持っているのは、当然ながらマイルス。ペットに左手を添えている女性は。この写真からポギーとベスを現したかったのか。

1. The Buzzard Song
2. Bess, You Is My Woman
3. Gone / Gil Evans
4. Gone, Gone, Gone
5. Summertime
6. Bess, Oh Where's My Bess
7. Prayer (Oh Doctor Jesus)
8. Fisherman, Strawberry And Devil Crab
9. My Man's Gone Now
10. It Ain't Necessarily So
11. Here Come De Honey Man
12. I Loves You, Porgy
13. There's A Boat That's Leaving Soon For New York

Miles Davis - trumpet, flugelhorn
Ernie Royal, Bernie Glow, Johnny Coles, Louis Mucci - trumpet
Dick Hixon, Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Joe Bennett - trombone
Willie Ruff, Julius Watkins, Gunther Schuller - horn
Bill Barber - tuba
Phil Bodner, Jerome Richardson, Romeo Penque - flute, alto flute, clarinet
Cannonball Adderley - alto saxophone
Danny Bank - alto flute, bass flute, bass clarinet
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums (tracks 1,2,5-8,10-13)
Philly Joe Jones - drums (tracks 3,4,9)
Gil Evans - arranger, conductor

Recorded on July 22 & 29 and August 4 & 18, 1958 at 30th Street Studio, NYC.

Miles Davis / Miles And Monk At Newport

中古輸入盤LPをかつて所有していた。A面がマイルスで、B面がモンクのニュポート・ジャズ・フェスティバルでの演奏。しかしである。マイルスは1958年、モンクは63年の演奏なのだ。メンバーも全く違う。今だったら、こんなアルバムは見向きもされないだろう。

日本のフォークが台頭してきた頃、A面は高田渡、B面は五つの赤い風船というアルバムがあった(CDを所有)。それぞれが1枚分LPの曲が揃わず、それでも世に送り出すために作られたと理解している。録音データは以下の通り。このアルバムのそれぞれの代表曲は「自衛隊に入ろうと」と「遠い世界に」。
・高田渡 / 1968年11月13日
・五つの赤い風船 / 1968年11月13日, 68年11月26日, 69年1月3日

今考えれば微笑ましい限り。それに比べて、このアルバム。すでにジャズ界をリードしていたマイルスとモンクである。どうしてこのアルバムが創られたのかは未だに疑問。CD化されても購入しないと決めていたのだが、何と2枚組CDで発売され、ライブステージの全貌が明らかになった。そうなれば買うしかない。モンクのステージでは、クラリネットの大御所Pee Wee Russell(ピー・ウィー・ラッセル)が2曲でゲスト出演している。

Disc 1
1. Introduction By Willis Conover
2. Ah-Leu-Cha
3. Straight, No Chaser
4. Fran-Dance
5. Two Bass Hit
6. Bye Bye Blackbird
7. The Theme

Disc 2
1. Introduction By Willis Conover
2. Criss-Cross
3. Light Blue
4. Nutty
5. Blue Monk
6. Epistrophy

Disc 1
Miles Davis - trumpet
John Coltrane - tenor saxophone
Cannonball Adderley - alto saxophone
Bill Evans - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on July 3, 1958 at Newport Jazz Festival, Newport, RI.

Disc 2
Charlie Rouse - tenor saxophone
Pee Wee Russell - clarinet (tracks 4,5)
Thelonious Monk - piano
Butch Warren - bass
Frankie Dunlop - drums
Recorded on July 4, 1963 at Newport Jazz Festival, Newport, RI.

Miles Davis / 1958 Miles

タイトルから1958年の複数のセッションを寄せ集めたアルバムのように思えてしまう。しかしながら、全5曲中の4曲は、58年5月26日のセッションによるもの。なので、May 1958 Milesとすべきだった。この頃、マイルスはジャズの持つ可能性に飢えていた。コード進行による調和からモードによる緊張感への移行の時期。1年後の59年3月、ここでの同じメンバーでモードアルバムKind Of Blueの録音に臨んだ訳である。

日本で編集された本アルバムは、池田満寿夫のジャケットデザインが常に話題となるが、いまだに左に書かれたサインが読み取れない。赤の背景にあるのはSomethingだろうが、白の背景には何と書いてあるのか。ジャケット裏の英文解説はM.Okazaki(岡崎正通氏?)で、ざっと読んでみたが、サインのヒントは見つからなかった。さらに、Cover Design: Akio Nimbariの記述があったが、そこからの手掛かりもなし。

1. On Green Dolphin Street
2. Fran-Dance
3. Stella By Starlight
4. Love For Sale
5. Little Melonae

Miles Davis - trumpet
John Coltrane - tenor saxophone
Cannonball Adderley - alto saxophone (tracks 1,2,4)
Bill Evans - piano (tracks 1-4)
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums (tracks 1-4)
Red Garland - piano (track 5)
Philly Joe Jones - drums (track 5)

Tracks 1, 2, 3 & 4
Recorded on May 26, 1958 at Columbia 30th Street Studios, NYC.

Track 5
Recorded on October 26, 1955 at Columbia Studios, Studio D, NYC.