Miles Davis / Milestones

本作の録音データは2種類ある。マイルスのディスコグラフィーと所有する輸入盤CDでは、1958年2月4日と3月4日の録音となっており、国内盤LPでは4月2日と3日と記載されている。以下はマイルス自叙伝①からの抜粋。アルバムSomethin' Elseの録音は1958年3月9日なので、マイルスの指摘通り4月が正しいようだ。そして、マイルスがピアノを弾いた理由は、レッド・ガーランドとの言い争いにあったことが分かった。

「ニューヨークに帰ると、ブルーノートと契約したキャノンボールのレコーディングが待っていた。奴がオレにも加わって欲しいと言うから、友情として付き合った。〈サムシン・エルス〉というレコードで、なかなか良かった。オレも自分のバンドでコロンビアにレコーディングしようと、四月にスタジオに入った。〈中略〉何かをレッドに説明しようとしているうちに、奴が怒って帰ってしまったから、〈シッズ・アヘッド〉ではオレがピアノを弾いた。オレは、このレコードでバンドのサウンドが大いに気に入って、何か特別なことができたと確信した。〈中略〉〈マイルストーンズ〉が、モード手法で本格的に作曲しはじめた最初のレコードになった」。

1. Dr. Jackle
2. Sid's Ahead
3. Two Bass Hit
4. Milestones
5. Billy Boy
6. Straight, No Chaser

Miles Davis - trumpet, piano (track 2)
John Coltrane - tenor saxophone
Cannonball Adderley - alto saxophone
Red Garland - piano (except track 2)
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on April 2 (tracks 3-6) and 3 (tracks 1,2), 1958 at Columbia 30th Street Studio, NYC.

Miles Davis / Amsterdam Concert

このライブ演奏の3日前に、全く同じメンバーで映画音楽『死刑台のエレベータ』をパリで録音している。その当時の事はマイルス自叙伝①でこう書かれている。「映画音楽をやっている間にも、ケニー・クラークのドラムス、ピエール・ミシュロのベース、バルネ・ウィランのサックス、ルネ・ウルトルジュのピアノというグループで『クラブ・サンジェルマン』で演奏した。音楽そのものがすべてを伝えると思っていたから、フランスでも曲の紹介やらアナウンスは一切やらなかった。それで、フランスの批評家連中が怒ったことは、よく覚えている。オレが、傲慢にあしらっていると受け取ったようだ」。

即興のコンボであることは間違いないが、セッションを繰り返していたことがわかる。そして、本作のコンサートに関しては、残念ながらマイルスは触れていない。アムステルダムの観客にもアナウンス無しで演奏したのだろう。かなり緊張したと想像できる映画音楽の録音を終えてのアムステルダムでのライブ演奏。「楽しんでやろうぜ」と舞台に上がったに違いない。

1. Woody'n You
2. Bags' Groove
3. What's New
4. But Not For Me
5. A Night In Tunisia
6. Four
7. Walkin'
8. Well, You Needn't
9. 'Round Midnight
10. Lady Bird

Miles Davis - trumpet
Barney Wilen - tenor saxophone
Rene Urtreger - piano
Pierre Michelot - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on December 8, 1957 at Concertgebouw, Amsterdam, Holland.

Miles Davis / Ascenseur Pour L'Échafaud

『死刑台のエレベータ』の映画音楽。イアン・カー著『マイルス物語』では次のように書かれている。「監督のルイ・マルはマイルス・デイビスの狂信的なファンだったので、マイルスがパリにやって来ると聞いて、自らわざわざ空港へ出迎えに行き、彼に映画の音楽を引き受けてくれるよう直訴した。マイルスはやるだけやってみると返事した」。

そして、12月4日の夜半から翌日の朝にかけて録音が行われた。データによると、12月4日と5日に録音となっているが、簡単に言えば徹夜だったということ。だが、急な依頼を一発で決めたマイルスの仕事ぶり。しかも、共演したのは地元のミュージシャン達。一発勝負に賭けるジャズの醍醐味がここにある。ちなみに、ジャケットは主に3種類ほどある。今回購入したCDはフランス盤でJazz in Parisというシリーズらしい(フランス語のライナーノーツで解読できず)。これまでに見たことのないジャケット。

1. Générique
2. L'assassinat De Carala
3. Sur L'autoroute
4. Julien Dans L'ascenseur
5. Florence Sur Les Champs-Elysees
6. Dîner Au Motel
7. Evasion De Julien
8. Visite Du Vigile
9. Au Bar Du Petit Bac
10. Chez Le Photographe Du Motel

Miles Davis - trumpet
Barney Wilen - tenor saxophone
René Urtreger - piano
Pierre Michelot - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on December 4 & 5, 1957 at Le Poste Parisien Studios, Paris.