McCoy Tyner / Atlantis

1973年7月のモントルー・ジャズ・フェスティバルのアルバムEnlightenmentから1年後、サンフランシスコのジャズクラブ「キーストン・コーナー」でのライブ演奏。ネットで調べると、キャパシティー200とあるので、かなり大きなクラブだったことが分かる。72年オープン、83年クローズ。メンバーは、サックスのAzar Lawrence、ベースのJuini Boothは替わらず。ドラムがAlphonse MouzonからWilby Fletcherに替わり、パーカッションとしてGuilherme Francoを加えている。

2つのライブアルバムの前後をみても、微妙にメンバーが入れ替わっている。70年代はマッコイの怒涛の快進撃が続いたが、マッコイ自身は決して満足していなかったようだ。本作は74年8月31日と9月1日の演奏からピックアップして構成されているので、完璧な2日間ではなかったのかも知れない。1曲目に配置された17分45秒のタイトル曲Atlantisが最大の聴きどころ。2枚組LPではA面だけ聴いて満足していた。ライブがこの曲からスタートしたとは思えない。メインディッシュを最初に持ってきたのは、構成的に失敗だったと思う。CD化で曲順が変わるかと思ったが、LPの順序を踏襲。

1. Atlantis
2. In A Sentimental Mood
3. Makin' Out
4. My One And Only Love
5. Pursuit
6. Love Samba

Azar Lawrence - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Juini Booth - bass
Wilby Fletcher - drums
Guilherme Franco - percussion

Tracks 1, 2, 4 & 6
Recorded on August 31, 1974 at Keystone Korner, San Francisco, CA.

Tracks 3 & 5
Recorded on September 1, 1974 at Keystone Korner, San Francisco, CA.

McCoy Tyner / Sama Layuca

マッコイのマイルストーン・レーベルでの第1作はSahara(1972年1月録音)。その後、Song For My Lady, Song Of The New World, Enlightenmentと続き、このSama Layucaは74年3月の録音。この期間に、日本独自企画のEchoes Of A Friendを録音している。まさしく快進撃。誰も止めようがなかった。さらに、Atlantis, Tridentと続いて、金字塔Fly With The Wind(76年1月録音)で頂点に立つ。

これらのアルバムは、参加メンバーが固定化されていないことに注目すべきだろう。アルバム毎にマッコイは構想を練り上げ、楽器編成とミュージシャンを選定していったことが分かる。Sama Layucaで最も効果的な楽器は、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブとマリンバ。だが、先に挙げた他のアルバムでは、ハッチャーソンは参加していない。イメージが同じになるようなアルバムは決して作らないというマッコイの意思の表われなのだろう。ちなみに、悠雅彦氏のライナーノーツには、74年9月のモンタレー・ジャズ祭でのマッコイへの取材で、Sama Layucaとはアメリカとメキシコとの国境沿いにある町の名前とマッコイの説明があったそうだが、Googleでは検索できなかった。

1. Sama Layuca
2. Above The Rainbow
3. La Cubana
4. Desert Cry
5. Paradox

Azar Lawrence - tenor saxophone soprano saxophone
Gary Bartz - alto saxophone
John Stubblefield - oboe, flute
Bobby Hutcherson - vibraphone, marimba
McCoy Tyner - piano
Buster Williams - bass
Billy Hart - drums
James Mtume - conga drums, percussion
Guilherme Franco - percussion

Recorded on March 26, 27 & 28, 1974 in NYC.

McCoy Tyner / Enlightenment

マッコイ・タイナー、3月6日に逝去。享年81。所有するマッコイのアルバムは32枚。少しずつCDへの買い替えをしていたところである。先日、入手したのはEnlightenmentで、1973年7月のモントルー・ジャズ・フェスティバルのライブアルバム。全曲、マッコイの作品。怒涛のマッコイ節。「音群」という言葉がぴったり。メンバーの名前が実は気に入っている。エイゾー、ブース、ムザーン。ミュージシャンではなく、格闘家という感じの響き。マッコイを含めた4人が、モントルーの舞台で楽器を武器に闘っている。

24分を超えるWalk Spirit, Talk Spiritがこのライブの仕上げ。マッコイはJazz Spiritを持ったミュージシャンの一人だった。学生時代のジャズ研を卒業して40年。今でも悔いが残るのは、この曲をジャズ研のコンボで演奏できなかったこと。ブルーノート・レコードがWebでこう表明している。It’s impossible to express how important McCoy was & always will be to our music.(マッコイが私たちの音楽にとってどれほど重要であり、これからもそうであることをどう述べればよいのか)。冥福を祈る。

1. Presenting The McCoy Tyner Quartet
2. Enlightenment Suite, Part 1 - Genesis
3. Enlightenment Suite, Part 2 - The Offering
4. Enlightenment Suite, Part 3 - Inner Glimpse
5. Presence
6. Nebula
7. Walk Spirit, Talk Spirit

Azar Lawrence - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Juini Booth - bass
Alphonse Mouzon - drums

Recorded on July 7, 1973 at the Montreux Jazz Festival, Casino De Montreux, Switzerland.