McCoy Tyner / Things Ain't What They Used To Be

ジャズのアルバムとしては、珍しい構成。全13曲中の8曲がマッコイ・タイナーのピアノソロ。残り5曲がデュオなのだが、3曲はジョン・スコフィールドと、2曲はジョージ・アダムスと組んでいる。ソロが1989年11月2日、デュオが11月27日の録音で、いずれもスタジオではなく、Merkin Hallというコンサートホール。Wikipediaによると449席とあったので、比較的小さなホール。スタジオでは得られない音響効果を狙ったのかも知れない。

スコフィールドとアダムスは、そこで顔を合わせたのだろう。だとすれば、「1曲くらいトリオでやろうよ」とならなかったのが不思議。この時、マッコイは50歳を過ぎていた。円熟味溢れる演奏である。デューク・エリントン作のThings Ain't What They Used to Be(昔はよかったね)をアルバムタイトルにしたのは、何となく意味深な感じがするのだが。

1. The Greeting
2. Naima
3. I Mean You
4. Here's That Rainy Day
5. Things Ain't What They Used to Be
6. Joy Spring
7. Lush Life
8. Song for My Lady
9. Sweet and Lovely
10. What's New?
11. Search for Peace
12. Blues on the Corner
13. My One and Only Love

McCoy Tyner - piano
John Scofield - guitar (tracks 3, 4 & 6)
George Adams - tenor saxophone (tracks 12 & 13)

Recorded on November 2, 1989 (solos), and November 27, 1989 (duets) at Merkin Hall, NYC.

McCoy Tyner / Revelations

マッコイのこのソロアルバムの存在は、まったく知らなかった。それは、1987年6月録音のアルバムSummertimeを聴いて、もうマッコイには期待できないと感じたからである。最近、アマゾンで格安の中古輸入盤を見つけ購入してみた。全13曲でそれぞれ4分から6分程度の演奏。マッコイの作品は、その中の5曲。

プロデュースしたMichael Cuscuna(マイケル・カスクーナ)が解説を書いている。ニューヨークのリンカーンセンター近くにある小さなコンサートホールMerkin Hallのステージを3日間使って録音。リハーサルで最初にDon't Blame Meを弾き、そのプレイバックを聴いてマッコイをこう言ったそうだ。"Boy, I must be in a mood to do this!"(これはいいぞ、やる気が出て来た!)。13曲を1回か2回のテイクで完成させたらしい。1972年11月に東京で録音したソロアルバムEchoes Of A Friendから16年。タイトルをRevelations(黙示録)としたのは、マッコイが新たな自分の力を感じたということだろうか。だとすれば、ブルーノートはジャケットに手抜きをすべきではなかった。

1. Yesterdays
2. You Taught My Heart To Sing
3. In A Mellow Tone
4. View From The Hill
5. Lazy Bird
6. Don't Blame Me
7. Rio
8. How Deep Is The Ocean?
9. Someone To Watch Over Me
10. Contemplation
11. Autumn Leaves
12. Peresina
13. When I Fall In Love

McCoy Tyner - piano

Recorded on October 25 (tracks 2, 5, 6, 9 & 10), 26 (tracks 1, 3, 7, 8 & 13) and 27 (tracks 4, 11 & 12), 1988 at Merkin Hall, NYC.

McCoy Tyner / Dimensions

マッコイがMilestoneからColumbiaへレーベルを移籍し、リリースしたアルバムThe Legend Of The Hour(1981年録音)とLooking Out(82年録音)には、骨抜きにされたマッコイがいた。マッコイ自身はそれを分かっていて、足早にColumbiaを去った。そして、82年に設立されたジャズレーベルElektra/Musicianから、本アルバムをリリース。

マッコイ作の1曲目One For Deaで、久し振りのマッコイ節が戻って来た。2曲目以降にマッコイの作品はないものの、ヴァイオリンを入れたり、2曲目Prelude To A Kissはピアノソロ、4曲目Just In Timeはピアノトリオと、アルバム全体が平坦にならないように工夫している。ジャケット裏面には、各曲の紹介をマッコイが書き、"I wish you many hours of good listening."と結んでいる。マッコイ復活の一枚。

1. One For Dea
2. Prelude To A Kiss
3. Precious One
4. Just In Time
5. Understanding
6. Uncle Bubba

Gary Bartz - alto saxophone (except tracks 2,4)
John Blake - violin (except tracks 2,4)
McCoy Tyner - piano, synthesizer
John Lee - bass (except track 2)
Wilby Fletcher - drums (except track 2)

Recorded on October 6, 7 & 18, 1983 at Unique Recording Studios, NYC.