Kenny Drew / Introducing The Kenny Drew Trio

軽快に演奏が進んで行くのだが、全8曲がたった27分32秒で終わってしまう。物足りなさを感じながら、ライナーノーツを読むと、岡崎正道氏が次のように解説していた。「アルバムは、ブルーノートの〈ニュー・フェイセス・ニュー・サウンズ〉シリーズの1枚として、まだ当時のLPの主流だった10インチ・アルバムの形で世に送り出された。〈ニュー・フェイセス・ニュー・サウンズ〉はその名のとおり、才能あふれる新人アーティストを世に紹介するシリーズ」。確かにジャケットを見ると、真ん中にnew faces / new soundsとある。

ケニー・ドリューの初リーダーアルバム。ドリューは与えられたチャンスを逃すまいと、気合を入れてレコーディングに臨んだのだろう。ディスコグラフィーによると、たった一日だけのセッションで20テイクを重ねている。本人としては、納得のいく一枚となったはずだ。

1. Yesterdays
2. Stella By Starlight
3. Gloria
4. Be My Love
5. Lover, Come Back To Me
6. Everything Happens To Me
7. It Might As Well Be Spring
8. Drew's Blues

Kenny Drew - piano
Curly Russell - bass
Art Blakey - drums

Recorded on April 16, 1953 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Kenny Dorham / Matador

CD帯から。「スパニッシュ・ムードが横溢するジャッキー・マクリーンとの双頭バンドによる傑作。中でもエキゾティックなメロディーを持つタイトル曲が素晴らしい」。まぁ、その通りだと思う。一つ付け加えるとすれば、5曲目Preludeで、ケニー・ドーハムとボビー・ティモンズによるデュオが、このアルバムの隠し味になっていること。

さらにもう一つ。ジャケットで何を表現しようとしたのか。幾何学模様で構成し、一切の文字を排している。タイトルMatadorとは闘牛士のことだが、この模様との関連性が思い浮かばない。そういう意味では、ジャズのアルバムとしては意表を突いたジャケットであって、演奏内容もある種の怪しい雰囲気が漂う。そんなイメージで本作を訴求するのであれば、ジャケット裏面のドーハムのモノクロ写真を使うべきだった。それこそ、闘牛士の内面を捉えたようなショットである。

1. El Matador
2. Melanie Parts 1-3
3. Smile
4. Beautiful Love
5. Prelude
6. There Goes My Heart

Kenny Dorham - trumpet
Jackie McLean - alto saxophone (tracks 1-4,6)
Bobby Timmons - piano
Teddy Smith - bass (tracks 1-4,6)
J.C. Moses - drums (tracks 1-4,6)

Recorded on April 15, 1962 at Sound Makers, NYC.

Kenny Dorham / Quiet Kenny

ようやく安価な中古CDを見つけて購入。邦題は『静かなるケニー』。LPを所有したときから思っていたのだが、この訳は間違いではないだろうか。quietは余計な動きや音がないという意味を持つ。ジャズはアドリブが勝負。それも、演奏する曲のイメージをどれだけ膨らませるかが鍵となる。余計な音を出してイメージを壊してしまったら負けなのだ。意訳ながら「秘めたるケニー」でどうだろうか。

さて、1曲目のLotus Blossom(蓮の花)はケニーのオリジナル。6拍子と4拍子を組み合わせ変則的ながら印象に残る曲。ところが、Asiatic Raesという曲名で、ソニー・ロリンズが1957年9月録音のアルバムNewk's Timeに、フレディ・ハバードが60年11月録音のアルバムGoin' Upに収録している。このQuiet Kennyは59年11月録音なので、何とも不思議である。

1. Lotus Blossom
2. My Ideal
3. Blue Friday
4. Alone Together
5. Blue Spring Shuffle
6. I Had The Craziest Dream
7. Old Folks
8. Mack The Knife

Kenny Dorham - trumpet, vocals
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on November 13, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.