Kenny Burrell / 'Round Midnight

ケニー・バレルのギターは、温かみがあって適度な緊張感。1972年の録音。ジャズが多様化へと進み始めた頃、「まぁ、慌てずに自分の音楽をやればいいんじゃない」というメッセージが伝わってくるアルバム。ただし、タイトルを安易に'Round Midnightにして、それに見合ったような感じの写真をジャケットに使ってしまったことが、このアルバムの価値をむしろマイナスにしている。例えば、Burrell Midnight Soundではどうだろうか。

CDジャーナルから。「バレルが1972年に発表したアルバムで、ジョー・サンプルなど、新世代のスターをバックに配している。ブルージィでグルーヴィーなプレイが冴えわたり、バラエティに富んだ演奏で楽しませてくれる」。まぁ、嘘ではないけれど、サンプルはタイトル曲のみに参加。そして、ラスト曲Blues In The Nightはバレルのソロなので、バラエティという意味では間違いはない。全体的には、ちょっと平坦な感じで、37分42秒で終わってしまうのが残念。

1. A Streetcar Named Desire
2. Make Someone Happy
3. 'Round Midnight
4. I Think It's Going To Rain Today
5. Since I Fell For You
6. I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life
7. Blues In The Night

Kenny Burrell - guitar
Richard Wyands - piano (tracks 1,2,4-6)
Joe Sample - piano (track 3)
Reggie Johnson - bass (tracks 1-6)
Lennie McBrowne - drums (tracks 1,2,4-6)
Paul Humphrey - drums (track 3)

Recorded in April, 1972 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Kenny Burrell / Midnight Blue

「ジャズってどんな音楽?」と聞かれたら、「基本はブルースだね」と答える。「ブルースって?」とさらに聞かれたら、「う~ん、循環音楽なんだよ」と。「循環って?」となれば、「あるパターンを繰り返すことで気持ちが高揚するんだなぁ」とかなり苦し紛れ。学生時代のコンボでは、ブルースが基本だった。セッションが進み、徐々に体がほぐれていくと、体を前後に揺らせて船漕ぎが始まる。いわゆる、ハイになる状態。なので、ジャズはブルースであり、船漕ぎ。

このアルバムMidnight Blueは、ブルースを軸にして作られている。イカしたジャケットを帆にして、夜中のどこへ漕ぎ出していくだろうか。CD帯からの抜粋。「ジャズギターの決定盤。最高のギタリストによる都会的で洗練された極上のブルース。真夜中のモダンジャズ」。ブルースに都会的や田舎的があるのかどうかわからないが、もう一つの魅力は、曲毎の楽器編成を変えていること。一発勝負のブルースではなく、かなり計算されたセッションを収録している。

1. Chitlins Con Carne
2. Mule
3. Soul Lament
4. Midnight Blue
5. Wavy Gravy
6. Gee Baby, Ain't I Good To You
7. Saturday Night Blues

Stanley Turrentine - tenor saxophone (except tracks 3,4,6)
Kenny Burrell - guitar
Major Holley - bass (except track 3)
Billy Gene English - drums (except track 3)
Ray Barretto - conga (except tracks 3,6)

Recorded on January 8, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Kenny Burrell / Bluesin' Around

1961年3, 4, 11月の計4回のセッションで構成。メンバーがセッション毎に異なるが、寄せ集めという感じを受けない。それは、アルバム全体でケニー・バレルのブルージーなギターが鳴り響いているから。バレルのギターには広がりを感じる。しかも、静かな「広がり」で、無理な緊張感をもたらす不協和音はまずない。では、「安定的」かと言うと、そんな甘いジャズでもない。バレルのギターは奥が深いのだ。

しかし、このアルバムがリリースされたのは83年で、20年以上もお蔵入りしていた。ライナーノーツ担当の村井康司氏はその理由に触れておらず、Wikipediaにも書かれていない。3月と4月のセッションだけでは曲数不足。11月の2回のセッションはケニー・バレルより約10年先輩のイリノイ・ジャケーが参加。「オレ参加していないセッションとの抱き合わせなんて、あり得ない!」と、ジャケーが当時は承知しなかった気がする。結局のところ、全9曲中の5曲に参加しているジャケーの骨太のサックスも楽しめるアルバムなのである。

1. Mambo Twist
2. The Switch
3. The Squeeze
4. Bluesin' Around
5. Bye And Bye
6. Moten Swing
7. People Will Say We're In Love
8. One Mint Julep
9. Mood Indigo

Tracks 1 & 2
Illinois Jacquet - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
Major Holley - bass
Osie Johnson - drums
Recorded on November 21, 1961 in NYC.

Tracks 3, 5 & 9
Illinois Jacquet - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
Major Holley - bass
Jimmy Crawford - drums
Recorded on November 29, 1961 in NYC.

Track 4
Eddie Bert - trombone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
George Duvivier - bass
Louis Hayes - drums
Recorded on March 6, 1961 in NYC.

Tracks 6, 7 & 8
Leo Wright - alto saxophone
Kenny Burrell - guitar
Jack McDuff - organ
Joe Dukes - drums
Recorded on April 30, 1961 in NYC.