Keith Jarrett / El Juicio

キース・ジャレットは、1971年7月と8月の計5日間で全24曲を録音。そして、Birth(誕生)、El Juicio(審判)、The Mourning Of A Star(流星)の3枚のアルバムに分け、『流星』が71年、『誕生』が72年、『審判』が75年にリリースされた。時期をずらしてのリリースは、アトランティック・レーベルの戦略だったのかは分からない。優れた演奏から選んでリリースしたとなると、本アルバム『審判』は残り物である。

そういう背景を気にしなければ、十分にキースの音楽を楽しめる。あえて「音楽」と書いたのは、ジャズという概念を超えた彼の本質を示したアルバムであるから。それを受け止めるかどうかは、聴き手の「審判」に委ねられている。

1. Gypsy Moth
2. Toll Road
3. Pardon My Rags
4. Pre-Judgement Atmosphere
5. El Juicio
6. Piece For Ornette (L.V.)
7. Piece For Ornette (S.V.)

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone, steel drums, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, alto sax (on Gypsy Moth), steel drums, percussion
Charlie Haden - double bass, steel drums, percussion
Paul Motian - drums, steel drums, percussion

Recorded on July 8, 9, 15 & 16, 1971 at Atlantic Recording Studios, NYC.

Keith Jarrett / Birth

1971年7月と8月の計5日間で、アルバム3枚分24曲のレコーディングをしたキース・ジャレット。マイルスのマラソン・セッションは有名だが、キースも負けずにチャレンジした。その3枚は『誕生』、『審判』、『流星』。3部作と言っても良いのだろうが、最初にコンセプトがあって作られたアルバムとは到底思えない。スタジオに集まった4人の実験でしかない。だからこそ、それぞれが様々な楽器を持ち換えている。ボーカルさえも入れて。

4人の実験に付き合う価値がどれだけあるか。それはもう、このアルバムを手にした人が決めるしかない。ジャズ評論家が口を出す範疇を越えている。ただ一つ言えるのは、キース・ジャレットという音楽家は、本質的にアバンギャルドな側面を持っているということ。ソロ・コンサート、ケルン・コンサート、そしてスタンダーズ・トリオでの演奏は、ピアニスト「キース・ジャレット」を演じてきたキースなのかもしれない。

1. Birth
2. Mortgage On My Soul (Wah-Wah)
3. Spirit
4. Markings
5. Forget Your Memories (And They'll Remember You)
6. Remorse

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone, recorder, banjo, steel drums, vocals
Dewey Redman - tenor saxophone, Chinese musette, bells, percussion, vocals
Charlie Haden - bass, conga, steel drums, clapper
Paul Motian - drums, steel drums, bells, percussion

Recorded on July 15 & 16 1971 at Atlantic Recording Studios, NYC.

Keith Jarrett / Ruta And Daitya

初めて買ったジャズのLPは、キース・ジャレットのSomewhere Before。ボブ・ディランのMy Back Pagesが1曲目に入っていたから。次に買ったキースのアルバムが本作。Somewhere Beforeでキースに吸い込まれ、本作で放り出された気持ちになったことを覚えている。キースとジャック・デジョネットが一発録りした訳ではなく、綿密な計算をしたとも思えない。素材をいくつか集め、それらをつないで創り上げた感じがする。

ようやくCDを手に入れた。ジャケットが2種類あったため、迷っていた。LPのジャケット(デザイン:Leena Westerlund)をそのまま使ったCDが廃盤同然になっていて高値。仕方なく、新しいジャケット(デザイン:Barbara Wojirsch)のCDを購入することにした。レーベルはECMのままなので、理由は不明である。

1. Overture / Communion
2. Ruta And Daitya
3. All We Got
4. Sounds Of Peru / Submergence / Awakening
5. Algeria
6. You Know, You Know
7. Pastel Morning

Keith Jarrett - piano, electric piano, organ, flute
Jack DeJohnette - drums, percussion

Recorded in May, 1971 at Sunset Studios, Los Angeles, CA.