Joe Henderson / The State Of The Tenor Live At The Village Vanguard Vol.2

ビレッジ・バンガードでの、テナー、ベース、ドラムのトリオとなると、どうしてもロリンズを連想してしまう。ロリンズの場合は、1957年11月3日の一晩のライブが3枚のLPに分かれて発売された。本作は3日連続のライブが2枚のCDに分散。ロリンズは一発カウンターパンチ、ジョー・ヘンダーソンはじわじわ効いてくるボディーブロー。50年代と80年代、ジャズの環境の違いも当然ながら影響している。

ロリンズのライブと比較するのは、本質的に無意味だが、本作は明らかに気迫に欠ける。と、ここまでは、Vol.1にも書いた。Vol.1は1985年11月14日から1曲、15日4曲、16日2曲という構成。Vol.2は15日2曲、16日5曲。このバラマキ配曲によって、各アルバムに特徴を出せなくなってしまった。では、なぜに巷では本作が名盤と呼ばれているのか。1980年録音のアルバムMirror, Mirror以来の5年振りのリーダー作だからということなのだろう。つまり、ヘンダーソン・ファンからすれば、待ちに待ったアルバム。「命盤」という感じ。

1. Boo Boo's Birthday
2. Cheryl
3. Y Ya La Quiero
4. Soulville
5. Portrait
6. The Bead Game
7. All The Things You Are

Joe Henderson - tenor saxophone
Ron Carter - bass
Al Foster - drums

Recorded on November 15 (tracks 3,5) & 16 (tracks 1,2,4,6,7), 1985 at The Village Vanguard, NYC.

Joe Henderson / The State Of The Tenor Live At The Village Vanguard Vol.1

ビレッジ・バンガードでの、テナー、ベース、ドラムのトリオとなると、どうしてもロリンズを連想してしまう。ロリンズの場合は、1957年11月3日の一晩のライブが3枚のLPに分かれて発売された。本作は3日連続のライブが2枚のCDに分散。ロリンズは一発カウンターパンチ、ジョー・ヘンダーソンはじわじわ効いてくるボディーブロー。50年代と80年代、ジャズの環境の違いも当然ながら影響している。

ロリンズのライブと比較するのは、本質的に無意味だが、本作は明らかに気迫に欠ける。その大きな要因はバックにある。ロン・カーターとアル・フォスターは、うまくまとめようとして、ヘンダーソンを煽っていない。結果的にヘンダーソンの演奏が平面的になっている。特にロンのベースの特徴は、良い意味でも悪い意味でも、先の読める演奏をすること。つまり、この編成ではハプニングが期待できないのだ。そのことが自然と観客にも伝わり、拍手にも気合いが入っていない。バンガードではないライブハウスでやれば、こんな風には叩かれなかっただろう。

1. Beatrice
2. Friday The 13th
3. Happy Reunion
4. Loose Change
5. Ask Me Now
6. Isotope
7. Stella By Starlight

Joe Henderson - tenor saxophone
Ron Carter - bass
Al Foster - drums

Recorded on November 14 (track 3), 15 (tracks 1,2,5,7) & 16 (tracks 4,6), 1985 at The Village Vanguard, NYC.

Jackie McLean / It's Time!

所有するのは輸入盤CDで、国内盤には邦題が付いているのかと気になってしまう。自分ならば「今が旬!」としてみたい。で、誰が「旬」かと言えば、主役のジャッキー・マクリーンではなく、このアルバム全体の雰囲気を創り出しているハービー・ハンコック。ハンコックは、本作が録音された1964年8月の1年前にマイルスグループに参加。まさしく、時代を牽引するジャズピアニストとして躍り出たのである。

マクリーンの金属音的なアルトとハンコックのモーダルなピアノが、60年代半ばのジャズに一筋の光を射しこんだ。とは言っても、それほどにセンセーショナルなアルバムではないのだが、ジャケットにはビックリマークが所狭しと並ぶ。タイトルIt's Time!を除くと243個のビックリ。ジーっと見ているとクラクラしてくる。そして、赤文字で強調したJACKIE McLEANの中の小文字cが上ずっている。マクリーンのアルバムには上付きcがいくつかある。もう死語となってしまった「ウルトラC」をさりげなく強調しているのだ。

1. Cancellation
2. Das' Dat
3. It's Time
4. Revillot
5. 'Snuff
6. Truth

Jackie McLean - alto saxophone
Charles Tolliver - trumpet
Herbie Hancock - piano
Cecil McBee - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on August 5, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.