Joe Pass / For Django

1曲目のジョン・ルイス作Djangoで、本アルバムの全てを語ってしまった感がある。あとに続く9曲には、これと言ったメリハリがある訳でなく、ゆったりと流れ過ぎて行く。

ジョー・パスとジョン・ピサノによるギター2本、そしてベースとドラムという構成で、ピサノはバッキングに専念。一曲一曲は見事な演奏なのだが、ギター同士の駆け引きなどはなく、アルバム全体を単調なものにしてしまっている。名演は必ずしも名盤にならないという見本。

1. Django
2. Rosetta
3. Nuages
4. For Django
5. Night And Day
6. Fleur D'Ennui
7. Insensiblement
8. Cavalerie
9. Django's Castle
10. Limehouse Blues

Joe Pass - guitar
John Pisano - guitar
Jim Hughart - bass
Colin Bailey - drums

Recorded on October 20, 1964 in NYC.

Johnny Griffin / Blues For Harvey

ディスコグラフィーを調べると、2日間のコペンハーゲンでのライブ演奏が、その順番でほぼCDに収められているようだ。そのため、ライブが徐々に熱くなってくる様子がよく分かる。

トラック4と8を除いて、グリフィンのオリジナル。どれも佳作ながら、これぞという曲は無し。ただし、6曲目のBlues For Harveyが終わると、グリフィンの声だろう、"Harvey!!"と叫んでいるのが聴こえる。その意味するところは…。ジャケット裏の写真に答えがあった。Griffin with Harvey Sand - his favourite Danish bartender from the Montmartre Jazzhus in Copenhagen.(グリフィンのお気に入りのバーテンダーであるハービー・サンド)。Little Giantのニックネームを持つグリフィンと、太っちょハービーのツーショット。しかも、葉巻を加えたハービーの左手にはボトル。グリフィンが右手に持つのは何か分からないが、とにかくご機嫌な二人が本作の出来をよく表している。

1. That Party Upstairs
2. Alone Again
3. Sound Track Blues
4. Theme
5. Soft And Furry
6. Blues For Harvey
7. Rhythm-A-Ning / Theme

Johnny Griffin - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Mads Vinding - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on July 4 & 5, 1973 at Jazzhus Montmartre, Copenhagen, Denmark.

Joseph Jarman / Inheritance

1983年12月12日録音。LPを購入したのは、1984年4月8日。その証拠がライナーノーツに押印されている。もう38年前のことである。当時は、もらった給料から生活費を先に抜いて、残りはレコードに費やしていた(今もあまり変わらないけど)。インターネットは未整備で、ホームページやブログがなかった時代。ジャズの情報を得るのは月刊誌『スイングジャーナル』であり、購入したアルバムの記録を残すのは、「紙」ベースであった。

ジョセフ・ジャーマン。AEOC - Art Ensemble Of Chicago のメンバー。AEOCで活動しながら、リリースしたリーダーアルバム。ある種、コルトレーン後期、いや晩期と言うべき演奏スタイルも感じられ、80年代の新たな流れを作ろうとしたのかも知れない。ただ、それは決して野心的でもなく、商業ベースの思惑もなかったはず。ジャーマンは、1979年6月に山下洋輔とアルバムFirst Timeを録音している。それから4年後に、このアルバムに取り組んだ。7曲目は「オー先生に捧げる」。武術の先生だったらしい。山下とのセッションを通じて、日本のジャズや文化に興味を抱いたジャーマン。タイトルInheritanceは遺産継承の意味。CD化はされているものの、中古市場にはほとんど出回っていない。継承されていないのだ。

1. Inheritance
2. Petite Fleur
3. Old Time South Street Dance
4. Blues For Alice
5. Unicorn In Shadows
6. Love Song For A Rainy Monday
7. Oh Sensei Ni Sasageru

Joseph Jarman - soprano saxophone, tenor saxophone, c flute, b flute
Geri Allen - piano, synthesizer
Fred Hopkins - bass
Famoudou Don Miye - percussion

Recorded on December 12, 1983 at Vanguard Recording Studios, NYC.