ビレッジ・バンガードでの、テナー、ベース、ドラムのトリオとなると、どうしてもロリンズを連想してしまう。ロリンズの場合は、1957年11月3日の一晩のライブが3枚のLPに分かれて発売された。本作は3日連続のライブが2枚のCDに分散。ロリンズは一発カウンターパンチ、ジョー・ヘンダーソンはじわじわ効いてくるボディーブロー。50年代と80年代、ジャズの環境の違いも当然ながら影響している。
ロリンズのライブと比較するのは、本質的に無意味だが、本作は明らかに気迫に欠ける。その大きな要因はバックにある。ロン・カーターとアル・フォスターは、うまくまとめようとして、ヘンダーソンを煽っていない。結果的にヘンダーソンの演奏が平面的になっている。特にロンのベースの特徴は、良い意味でも悪い意味でも、先の読める演奏をすること。つまり、この編成ではハプニングが期待できないのだ。そのことが自然と観客にも伝わり、拍手にも気合いが入っていない。バンガードではないライブハウスでやれば、こんな風には叩かれなかっただろう。
1. Beatrice
2. Friday The 13th
3. Happy Reunion
4. Loose Change
5. Ask Me Now
6. Isotope
7. Stella By Starlight
Joe Henderson - tenor saxophone
Ron Carter - bass
Al Foster - drums
Recorded on November 14 (track 3), 15 (tracks 1,2,5,7) & 16 (tracks 4,6), 1985 at The Village Vanguard, NYC.