Jack DeJohnette / New Directions

1970年代後半、ジャズは迷走していた。そして1976年6月、ハービー・ハンコックはV.S.O.P.クインテットでジャズに活力を与えた。これが一つのきっかけとなり、ジャズ界に新たな動きが始まったと思っている。このプロジェクトもその一つ。

ジャズ界の中にあって、異なる経歴を持つミュージシャンが集まって音作りをした。ジャック・ディジョネット、ジョン・アバークロンビー、レスター・ボウイ、エディ・ゴメスの4人が演奏する楽器は、複雑に絡み合い瞬間的に役割を交代していく。調和を目指したのではなく、緊張感を表現しようとしたのだと思う。それがNew Directionsのタイトルになったのだろう。V.S.O.P.とは両極端にある存在だった。

1. Bayou Fever
2. Where Or Wayne
3. Dream Stalker
4. One Handed Woman
5. Silver Hollow

Lester Bowie - trumpet
John Abercrombie - guitar, mandolin
Eddie Gomez - bass
Jack DeJohnette - drums, piano

Recorded in June 1978 at Talent Studio, Oslo.

J.R. Monterose / The Message

『ジャズ批評No.48/特集テナーサックス』(昭和59年8月20日発刊)では、主要テナー奏者43人が取り上げられ、モンテローズは後藤雅洋氏が担当。モンテローズの紹介というより、1975年に復刻されるまで「超・幻の名盤」だった本アルバムを詳細に解説している。以下はその骨子。

ブルーノートのリーダーアルバムはそれほどのものでなく、ミンガスの『直立猿人』(56年1月録音)では彼の個性が少々殺されている。そして、ケニー・ドーハムとの双頭コンボThe Jazz Prophets(56年4月録音)では熱演しているものの、彼の最善のものがThe Messageで出し尽くされていると結論付けている。かつて「超・幻の名盤」だったアルバムは、「真の名盤」だったということである。後藤氏は縦横無尽に聴き比べていて、勉強になるのだ。

1. Straight Ahead
2. Violets For Your Furs
3. Green Street Scene
4. Chafic
5. You Know That
6. I Remember Clifford
7. Short Bridge

J.R. Monterose - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Jimmy Garrison - bass
Pete La Roca - drums

Recorded on November 24, 1959 at New York.

J.R. Monterose / J.R. Monterose

J.R.モンテローズのことを勉強しようと思い、『ジャズ批評No.48/特集テナーサックス』(昭和59年8月20日発刊)を本棚から取り出してきた。特集の中には、主要テナー奏者43人が取り上げられ、モンテローズは後藤雅洋氏が担当。本アルバムについての解説かと期待したら、モンテローズの幻の名盤The Messageを掘り下げている。不覚にもThe Messageは所有しておらず、すぐにネットで探し始め、良好な中古CDを見つけて即注文。勉強にはお金が必要だ。

本アルバムは、1956年にブルーノートに吹き込んだ初リーダー作品。その次のリーダー作品がThe Messageで、59年にジャロというマイナーレーベルで録音している。66年の生涯でリーダーアルバムは6枚のみ。必ずしも恵まれたジャズ人生ではなかったのかも知れないが、ジャケットからはジャズを心から愛していたことがうかがえる。

1. Wee-Jay
2. The Third
3. Bobbie Pin
4. Marc V
5. Ka-Link
6. Beauteous
7. Wee-Jay [alternate take]

J.R. Monterose - tenor saxophone
Ira Sullivan - trumpet
Horace Silver - piano
Wilbur Ware - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on October 21, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.