Jack DeJohnette / Inflation Blues

ジャック・ディジョネットは、このアルバムを録音した翌年、キース・ジャレットとスタンダーズ・トリオを結成。新たな可能性に挑戦した。今だからこそ言えるのだが、ディジョネットは、そしてこのスペシャル・エディションは、到達点ではなく変曲点であったことが分かる。スペシャル・エディションは、1978年にスタートし84年で完結している。ジャズを取り巻く環境が変わったというのも大きな要因であろう。だがしかし、ディジョネット自身がやりたかった音楽がここにあったのかは疑わしい。

このアルバムで、ドラム以外の楽器も演奏したディジョネット。ジャズを創り上げるのではなく、アルバムを創り上げるというジレンマがあったのか。だからと言って、このアルバムの価値が下がるものではない。80年代初め、出口が見えなかったジャズ。一つの風穴を開けたディジョネットであった。CD化をずっと待ち望んでいたアルバムの一つ。そろそろ、リリースされているのではないかと思い調べたら、ユニットとしてのスペシャル・エディション4枚組CDボックスになっていた。本作以外の3枚はCDを所有しているので、何とも残念。ECMらしくない再発売の仕方。

1. Starburst
2. Ebony
3. The Islands
4. Inflation Blues
5. Slowdown

Chico Freeman - tenor saxophone, soprano saxophone, bass clarinet
John Purcell - baritone saxophone, alto saxophone, flute, clarinet
Baikida Carroll - trumpet (tracks 1,3,5)
Rufus Reid - bass
Jack DeJohnette - drums, piano, clavinet, vocal

Recorded in September 1982 at Power Station, NYC.

Jack DeJohnette / Tin Can Alley

不思議なアルバム。LPにはRecorded live Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, September 1980と記載されている。スタジオライブなのだが、日にちを特定していない。さらには、CDではSeptember 1980が消去されている。そして、4曲目のThe Gri Gri Manはジャック・ディジョネットによる一人多重録音。これをスタジオライブと呼べるのだろうか。

そして、LPとCDの両方には、Authentic Willisau applause originally prepared at Willisau Jazz Festival August 1980と注釈的な記載。このジャズ・フェスティバルの1980年のプログラムをネットで見つけたところ、1980, August 28 / JACK DEJOHNETTE'S SPECIAL EDITIONとあった。ラスト曲I Knowは、ここでの観客の拍手を重ねているのだろうか。アルバム全体としては、フロント2管にベースとドラムという構成。フロント陣は自由に、そして重厚感のある演奏をしている。しかし、ECMというレーベルは、データを隠すという姑息な手段をよく取るのだ。

1. Tin Can Alley
2. Pastel Rhapsody
3. Riff Raff
4. The Gri Gri Man
5. I Know

Chico Freeman - tenor saxophone, flute, bass clarinet
John Purcell - baritone saxophone, alto saxophone, flute
Peter Warren - bass, cello
Jack DeJohnette - drums, piano, organ, conga, timpani, vocal

Recorded in September 1980 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg.

Jack DeJohnette / Special Edition

このアルバムには「躍動」という言葉が当てはまる。1979年3月録音。70年代を突き抜け80年代に突入する感じ。全5曲中、Central Park WestとIndiaはコルトレーンの作品。それぞれ、アルバムColtrane's SoundとImpressionsに収録。残り3曲はディジョネット自身の作品で、1曲目のOne For Ericはエリック・ドルフィーに捧げたものであろう。2曲目のZoot SuiteはZoot Sims(ズート・シムズ)と何か関係があるのだろうか。79年の時点、シムズはまだ現役なのだが。

5曲とも非常に完成された仕上がりになっていて、その中でもIndiaが最も印象に残る。デヴィッド・マレイのバスクラリネットが、61年11月3日のビレッジ・バンガードでのドルフィーのバスクラリネットと重なってくるからだ。

1. One For Eric
2. Zoot Suite
3. Central Park West
4. India
5. Journey To The Twin Planet

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Arthur Blythe - alto saxophone
Peter Warren - bass, cello
Jack DeJohnette - drums, piano, melodica

Recorded in March 1979 at Generation Sound Studios, NYC.