Joe Henderson / Inner Urge

ゾクゾクする。1964年11月録音。ジャズが最高に熱かった時代。ただ、どうしても比較してしまうのがコルトレーン。コルトレーンは、このアルバムの9日後にアルバムA Love Supremeを録音している。そこには、マッコイとエルビンがいた。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、さすがにジミー・ギャリソンまでを引っ張り出すことはできず、ボブ・クランショウを指名したのだろう。クランショウは、本作の録音時期でロリンズの正規メンバーだった。つまり、ヘンダーソンは、コルトレーンとロリンズからメンバーを借りて本作に臨んだことになる。

コルトレーン1926年9月生まれ、ヘンダーソン37年4月生まれ。ヘンダーソンは、間違いなく10年先輩のコルトレーンを意識していたはずだ。改めて聴くと、ベースの存在感の違いを感じる。ジミー・ギャリソンのベースは、地べたを這いながら音空間へ飛び出す。クランショウは、地べたに這ったまま。いい悪いではなく、ベーシストとしてのスタイルの違い。

1. Inner Urge
2. Isotope
3. El Barrio
4. You Know I Care
5. Night And Day

Joe Henderson - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Bob Cranshaw - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on November 30, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Henderson / In 'N Out

マッコイがいて、エルビンもいる。もう、それだけでワクワクしてくるアルバム。別テイクを除き、最初の3曲がジョー・ヘンダーソン、残り2曲がケニー・ドーハムの作品。だが、決め手となる曲がない。一流の料理人は揃えたが、材料の仕込みが足りなった感じだ。それでも、マッコイのモーダルなピアノ、エルビンの切れ味鋭いドラムが、どうにか緊張感を保っている。

演奏そのものには多少の不満が残るものの、ジャケットに本作の真髄がある。白のバックに黒のタイポグラフィ。そして、ジョー・ヘンダーソンの赤い文字。しかし、良く見るとメンバー5人の中で、マッコイだけがジャケットに記載されずetc.とされてしまっている。本作の録音から19日後の1964年4月29日、マッコイはウェイン・ショーターのアルバムNight Dreamerに参加。このアルバムにはエルビンも参加していて、本作と同様にジャケットに名前が記載されているが、マッコイはやはりEtcとなっている。マッコイは契約中のインパルスから何らかの制約を受けていたのだろう。

1. In 'N Out
2. Punjab
3. Serenity
4. Short Story
5. Brown's Town
6. In 'N Out [alternate take]

Joe Henderson - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
McCoy Tyner - piano
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Henderson / Page One

ジョー・ヘンダーソンの初リーダーアルバム。何といっても1曲目のBlue Bossaで決まり。だが、この曲をタイトルにしなかったのは、ケニー・ドーハム作だったからなのだろう。ドーハムがヘンダーソンを表舞台に出すために後押ししたことは、本作のライナーノーツをドーハム自身が担当していることからも明らか。Blue Bossaについて、ドーハムが次のように紹介している。"a mystic Kenny Dorham original with an authentic feeling of melancholy and buoyancy, an easy structure to follow, has one of the best of Joe Henderson's solos."(神秘的なドーハムのオリジナル。憂鬱と快活さを真に感じさせ、分かりやすい構造。ジョー・ヘンダーソンの最高のソロの1つ)。

学生時代のジャズ研でBlue Bossaを何度演奏しただろう。まずはブルースで肩を慣らし、仕上げはこの曲が多かった。ドーハムが書いているように、難解な要素はなく、コンボでの細かい打ち合わせの必要もない曲。それだけに、アドリブでそれぞれの持ち味を出せるかが鍵だった。セッションが終われば、その余韻を残しながら焼鳥屋へ。ジャズ研のいつもパターン。

1. Blue Bossa
2. La Mesha
3. Homestretch
4. Recorda-Me
5. Jinrikisha
6. Out Of The Night

Joe Henderson - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
McCoy Tyner - piano
Butch Warren - double bass
Pete La Roca - drums

Recorded on June 3, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.