Joe Morello / It's About Time

ジョー・モレロがデイブ・ブルーベックのアルバム『タイム・アウト』に参画したのは1959年6月から8月。その2年後に本アルバムを製作。コンセプトはTime。収録された全ての曲のタイトルにtimeの単語が入っている。ドラマー名義のアルバムだけに、企画優先のアルバムだったのだろう。『タイム・アウト』は編拍子がコンセプトだった。その恩恵に授かって作り込んだと思う。

企画倒れにならなかったのは、フィル・ウッズのアルトサックス、ゲイリー・バートンのヴァイブによって緊張感を出すことができたから。そして、全10曲中の4曲にオーケストラを配置。「時は金なり」で、予算も十分に確保した企画だった訳である。timeと言えば、収録曲以外にNow's The Time, As Time Goes By, Some Other Timeが思い浮かぶが、なぜか落選してしまった。

1. I Didn't Know What Time It Was
2. Time After Time
3. Every Time
4. Every Time We Say Goodbye
5. Just In Time
6. Summertime
7. Time On My Hands
8. Mother Time
9. Fatha Time
10. It's About Time

Phill Woods - alto saxophone
Gary Burton - vibraphone
John Bunch - piano
Gene Cherico - bass
Joe Morello - drums

Recorded on June 6 - 15, 1961 in Webster Hall and RCA Victor's Studio A, NYC.

Joe Henderson / Mode For Joe

ジョー・ヘンダーソン、リー・モーガン、カーティス・フラーによるフロント3管。さらに、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが加わって、タイトル通りのモーダルな雰囲気を醸し出す。それを見事にバックアップしているのが、シダー・ウォルトン。ウォルトンは、タイトル曲のMode For JoeとBlackをここでは提供し、本作から約10年後の1975年10月に録音したアルバムEastern RebellionでMode For Joeを再演している。

ふと、マイルスとヘンダーソンとの共演があったか気になり、Wikipediaを見たら次の一文があった。「1967年には、短期間ではあったがハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスを擁するマイルス・デイビス・クインテットに参加した。しかし、このバンドでの録音は行われなかった」。本作録音の翌年のことである。さらに、マイルス自叙伝②には、「テナーサックスが2本のセクステットを試していたから、1967年の初めにはジョー・ヘンダーソンが入っていた」とあった。もし、マイルスがテナー2本構成に新たな可能性を見いだしていれば、ヘンダーソンのその後の方向性は大きく変わっただろう。

1. A Shade Of Jade
2. Mode For Joe
3. Black
4. Caribbean Fire Dance
5. Granted
6. Free Wheelin'
7. Black [alternate take]

Joe Henderson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Bobby Hutcherson - vibraphone
Cedar Walton - piano
Ron Carter - double bass
Joe Chambers - drums

Recorded on January 27, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Henderson / Inner Urge

ゾクゾクする。1964年11月録音。ジャズが最高に熱かった時代。ただ、どうしても比較してしまうのがコルトレーン。コルトレーンは、このアルバムの9日後にアルバムA Love Supremeを録音している。そこには、マッコイとエルビンがいた。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、さすがにジミー・ギャリソンまでを引っ張り出すことはできず、ボブ・クランショウを指名したのだろう。クランショウは、本作の録音時期でロリンズの正規メンバーだった。つまり、ヘンダーソンは、コルトレーンとロリンズからメンバーを借りて本作に臨んだことになる。

コルトレーン1926年9月生まれ、ヘンダーソン37年4月生まれ。ヘンダーソンは、間違いなく10年先輩のコルトレーンを意識していたはずだ。改めて聴くと、ベースの存在感の違いを感じる。ジミー・ギャリソンのベースは、地べたを這いながら音空間へ飛び出す。クランショウは、地べたに這ったまま。いい悪いではなく、ベーシストとしてのスタイルの違い。

1. Inner Urge
2. Isotope
3. El Barrio
4. You Know I Care
5. Night And Day

Joe Henderson - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Bob Cranshaw - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on November 30, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.