Jim Hall / Concierto De Aranjuez

失敗。このアルバムが「失敗」ではなく、1,080円だから、まぁいいやと迷わずに購入したことが「失敗」。でも、それは価格の問題ではない。ギタリストとして、自分の中で存在感があるジム・ホールが、こんなアルバムを作っていたことを知ってしまったある種の嫌悪感。名盤Conciertoの安易な焼き直し。後戻りとは言わないが、振り返っても仕方がない。ましてや、ジャズの演奏なんて一瞬の出来事。演奏した瞬間、アルバムに残した瞬間、もうそれは過去の物。

商品解説から。「あのCTIの名作Conciertoの続編にあたる1981年日本のキングレコードの企画盤、邦題は〈新アランフェス協奏曲〉。歴史的名演を、新アレンジで再現したジム・ホールとデヴィッド・マシューズによるコラボレーション。〈アランフェス協奏曲〉の他にも、お馴染みの名曲〈赤とんぼ〉や〈コンドルは飛んでいく〉のモダン且つジャジーで濃厚なアレンジが最高」。しかしである。柳の下に二匹目の泥鰌はいない。赤とんぼも、そしてコンドルも飛ばないのだ。

1. Concierto De Aranjuez
2. Summer Waltz
3. Red Dragon Fly
4. El Condor Pasa
5. Ara Cruz
6. Chorale And Dance

Jim Hall - guitar
David Matthews - electric piano
Tom Harrell - trumpet
Joe Sheppley - trumpet
Sam Burtiss - trombone
Tony Price - tuba
Fred Griffen - French horn
David Toffani - flute, alto flute, soprano saxophone, piccolo
Gerry Neiwood - tenor saxophone, flute
Ronnie Cuber - baritone saxophone, bass clarinet
Paul Metsky - electric guitar
Mark Egan - electric bass
Jimmy Madison - drums
David Charles - percussion

Recorded on January 18, 1981 at A&R Studio, NYC.

J.J. Johnson / First Place

1957年4月11日、12日、26日のセッションを収録。全体的にほんわかムード。フロントがトロンボーン1管のみで、バックもししゃり出ていない。次作のアルバムBlue Tromboneは、同じ4月26日のセッションが中心でメンバーも変わらず。さらに、次々作のアルバムDial J.J.5は、トミー・フラナガンを除いてメンバー交代はあるものの、同年1月と5月の録音。これら3枚は、57年中にコロンビアからリリースされている。

集中して録音した多くの音源を、市場の様子を見ながら、時期をずらしアルバムとしてリリースするのが一般的。ところが、少なくとも50年代後半のコロンビアは、そんな小手先の技を使わずに、J.J.ジョンソンを一気に売り出す戦略に出たということだ。タイトルを大胆にFirst Place(第一位)としたのも、トロンボーンの第一人者という意味を込めたからだろう。だとすれば、ほんわかムードだけでは、少し物足りない。ジャケットに写ったジョンソンも照れくさそうだ。

1. It's Only A Paper Moon
2. Paul's Pal
3. For Heaven's Sake
4. Commutation
5. Harvey's House
6. That Tired Routine Called Love
7. Be My Love
8. Cry Me A River
9. Nickels And Dimes

J.J. Johnson - trombone
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Max Roach - drums

Tracks 1, 4 & 7
Recorded on April 12, 1957 at Columbia Studios, Studio A, NYC.

Tracks 2, 3, 5, 6 & 9
Recorded on April 11, 1957 at Columbia Studios, Studio A, NYC.

Track 8
Recorded on April 26, 1957 at Columbia 30th Street Studios, NYC.

John Coltrane / Offering

1966年11月11日にフィラデルフィアのテンプル大学で行われたコンサートの音源が発掘され、2014年9月にリリースされたアルバム。比較的安価な輸入盤2枚組CDを購入した。今回、改めて聴き直し、英文Wikipediaで調べたところ、興味深い点をいくつか見つけた。

2人のアルトサックスと3人のパーカッションは、それぞれ地元の学生と地元ミュージシャンで、コルトレーンが声を掛けたそうだ。ラジオ放送されることが前提のコンサートであったにもかかわらず、飛び入り参加に対しては、他のメンバーに不満があったではないだろうか。

そして、ジミー・ギャリソンではなく、ソニー・ジョンソンがベースを弾いていること。ギャリソンは、ハンプトン・ホーズのトリオに参加するためグループを離れると発言したそうだ。この点に関しては、コルトレーン自身に不満があったはずだ。だが、ホーズのディスコグラフィーには、このコンサートの時期のギャリソンとの録音は記載されていない。結局、67年2月録音のアルバムStellar Regionsにギャリソンは参加しているので、一時的に離れただけだったようだ。

さらに、本作ではコルトレーンのボーカルがクレジットされている。LeoとMy Favorite Thingsでコルトレーンは歌っているのだ。というか、雄叫びなのだが…。そして、コルトレーンのディスコグラフィーで、コルトレーンによるボーカルと明確に書かれているのは、本作のみ。雄叫びのコルトレーンの映像を観てみたい。

Disc 1
1. Naima
2. Crescent

Disc 2
1. Leo
2. Offering
3. My Favorite Things

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophones, flute, vocals
Pharoah Sanders - tenor saxophone, piccolo
Arnold Joyner - alto saxophone
Steve Knoblauch - alto saxophone
Alice Coltrane - piano
Sonny Johnson - bass
Rashied Ali - drums
Umar Ali - percussion
Algie DeWitt - percussion
Robert Kenyatta - percussion

Recorded on November 11, 1966 at Mitten Hall, Temple University, Philadelphia.