J.J. Johnson / First Place

1957年4月11日、12日、26日のセッションを収録。全体的にほんわかムード。フロントがトロンボーン1管のみで、バックもししゃり出ていない。次作のアルバムBlue Tromboneは、同じ4月26日のセッションが中心でメンバーも変わらず。さらに、次々作のアルバムDial J.J.5は、トミー・フラナガンを除いてメンバー交代はあるものの、同年1月と5月の録音。これら3枚は、57年中にコロンビアからリリースされている。

集中して録音した多くの音源を、市場の様子を見ながら、時期をずらしアルバムとしてリリースするのが一般的。ところが、少なくとも50年代後半のコロンビアは、そんな小手先の技を使わずに、J.J.ジョンソンを一気に売り出す戦略に出たということだ。タイトルを大胆にFirst Place(第一位)としたのも、トロンボーンの第一人者という意味を込めたからだろう。だとすれば、ほんわかムードだけでは、少し物足りない。ジャケットに写ったジョンソンも照れくさそうだ。

1. It's Only A Paper Moon
2. Paul's Pal
3. For Heaven's Sake
4. Commutation
5. Harvey's House
6. That Tired Routine Called Love
7. Be My Love
8. Cry Me A River
9. Nickels And Dimes

J.J. Johnson - trombone
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Max Roach - drums

Tracks 1, 4 & 7
Recorded on April 12, 1957 at Columbia Studios, Studio A, NYC.

Tracks 2, 3, 5, 6 & 9
Recorded on April 11, 1957 at Columbia Studios, Studio A, NYC.

Track 8
Recorded on April 26, 1957 at Columbia 30th Street Studios, NYC.

John Coltrane / Offering

1966年11月11日にフィラデルフィアのテンプル大学で行われたコンサートの音源が発掘され、2014年9月にリリースされたアルバム。比較的安価な輸入盤2枚組CDを購入した。今回、改めて聴き直し、英文Wikipediaで調べたところ、興味深い点をいくつか見つけた。

2人のアルトサックスと3人のパーカッションは、それぞれ地元の学生と地元ミュージシャンで、コルトレーンが声を掛けたそうだ。ラジオ放送されることが前提のコンサートであったにもかかわらず、飛び入り参加に対しては、他のメンバーに不満があったではないだろうか。

そして、ジミー・ギャリソンではなく、ソニー・ジョンソンがベースを弾いていること。ギャリソンは、ハンプトン・ホーズのトリオに参加するためグループを離れると発言したそうだ。この点に関しては、コルトレーン自身に不満があったはずだ。だが、ホーズのディスコグラフィーには、このコンサートの時期のギャリソンとの録音は記載されていない。結局、67年2月録音のアルバムStellar Regionsにギャリソンは参加しているので、一時的に離れただけだったようだ。

さらに、本作ではコルトレーンのボーカルがクレジットされている。LeoとMy Favorite Thingsでコルトレーンは歌っているのだ。というか、雄叫びなのだが…。そして、コルトレーンのディスコグラフィーで、コルトレーンによるボーカルと明確に書かれているのは、本作のみ。雄叫びのコルトレーンの映像を観てみたい。

Disc 1
1. Naima
2. Crescent

Disc 2
1. Leo
2. Offering
3. My Favorite Things

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophones, flute, vocals
Pharoah Sanders - tenor saxophone, piccolo
Arnold Joyner - alto saxophone
Steve Knoblauch - alto saxophone
Alice Coltrane - piano
Sonny Johnson - bass
Rashied Ali - drums
Umar Ali - percussion
Algie DeWitt - percussion
Robert Kenyatta - percussion

Recorded on November 11, 1966 at Mitten Hall, Temple University, Philadelphia.

Joe Henderson / Tetragon

1967年9月と68年5月のセッションを組み合わせた構成。どちらもジョー・ヘンダーソンのワンホーンだが、ロン・カーターを除いたバック陣が異なる。ただし、収録曲の順序がセッションを跨いでいるので、アルバム全体の流れが遮断されてしまっている。ヘンダーソンの作品であるタイトル曲TetragonをLPのB面最初に持ってきたためである。全7曲をLP両面にうまく収めるには仕方なかったようだ。

マイルス自叙伝②によると、「テナーサックスが2本のセクステットを試していたから、1967年の初めにヘンダーソンがバンドに入っていた」とある。しかし、その頃の録音は残っていない。同年4月には、マッコイのアルバムThe Real McCoyに参加。そして、7月にコルトレーンの突然の死。そういう時代のうねりの中にいたヘンダーソン。だが、自分自身で新たな潮流を作っていくと言う強い意思を、ここでは見いだすことができない。無理矢理、ジャズ界のTetragon(四角)のリングを突き破る感じもないのだ。

1. Invitation
2. R.J.
3. The Bead Game
4. Tetragon
5. Waltz For Zweetie
6. First Trip
7. I've Got You Under My Skin

Tracks 1, 2, 3 & 5
Joe Henderson - tenor saxophone
Don Friedman - piano
Ron Carter - bass
Jack DeJohnette - drums
Recorded on May 16, 1968 at Plaza Sound Studios, NYC.

Tracks 4, 6 & 7
Joe Henderson - tenor saxophone
Kenny Barron - piano
Ron Carter - bass
Louis Hayes - drums
Recorded on September 27, 1967 at Plaza Sound Studios, NYC.