John Coltrane / Live In Seattle

このアルバムはシアトルでのライブだから、単純にLive In Seattleというタイトルだとずっと思っていた。しかし、いくつかの解説を読んで、ジャケットにはJohn Coltrane Featuring Pharoah Sandersと朱色で書かれていることを発見。つまり、コルトレーンがサンダースを正式メンバーに加えたことを意思表示したアルバムなのである。逆に言えば、マッコイとエルビンがグループから離脱せざるを得なくなったきっかけが、この1965年9月30日のシアトルだったとも言える。

3曲目のEvolutionは狂気の沙汰。コルトレーン、サンダース、ドナルド・ギャレットのフロント3管が、それぞれの「進化」を競い合う。バックのマッコイとエルビンは取り残されていくが、ベースのギャリソンは必死に食らいつく。ギャレットは、バスクラリネットとベースで参加。このライブの2週間後の10月14日に吹き込んだSelflessnessでもバスクラとベースを持ち込んだ。ギャレットのこの狙いは何だったのか。何故にコルトレーンはそれを許したのだろうか。アルバムLive In SeattleのLPでライナーノーツを担当した岩浪洋三氏、CDの今井正弘氏、さらにはアルバムSelflessnessでの後藤雅洋氏、三者ともそのことには一切触れていない。明らかに研究不足だ。

1. Cosmos
2. Out Of This World
3. Evolution
4. Tapestry In Sound

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
Pharoah Sanders - tenor saxophone
Donald Garrett - bass clarinet, bass
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on September 30, 1965 at The Penthouse, Seattle, WA.

John Coltrane / Feelin' Good

1965年2月から9月までに録音され、正規のアルバムに収録されなかった曲を集めたもの。1978年に2枚組LPとしてインパルスからリリースされた。全8曲1時間25分。インパルスとしては手抜きしたジャケットだが、演奏内容の重要性は高い。

My Favorite ThingsはアルバムMy Favorite Things - Coltrane At Newportと、Dusk-Dawnはボーナストラック付きのアルバムKULU SE MAMAと重複するものの、残り6曲は本作のみの音源である。Living SpaceとJoyをアリス・コルトレーンがストリングスとパーカッションを勝手にオーバーダビングしてアルバムInfinityで発表した。しかも、原曲12分を上回るJoyは8分以下に縮めてしまった。そのオリジナル音源が本作には収録されているのだ。2枚組CDとして販売されたことはあるが、現在は廃盤状態。

Disc 1
1. Feelin' Good
2. My Favorite Things
3. Living Space
4. Untitled 90320

Disc 2
5. Untitled 90314
6. Dusk-Dawn
7. Nature Boy
8. Joy

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Art Davis - bass (tracks 1,7)
Elvin Jones - drums

Track 1
Recorded on February 18, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 2
Recorded on July 2, 1965 at Newport Jazz Festival Newport.

Track 3, 4 & 6
Recorded on June 16, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 5
Recorded on June 10, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 7
Recorded on February 17, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 8
Recorded on September 22, 1965 at Coast Recorders, San Francisco.

John Coltrane / First Meditations

コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルビンによる「黄金のカルテット」の最後の録音と言われているが、実は正しくない。いや、CD化で6曲目Joyの別バージョンが加えられるまでは正しかった。もしくは、別バージョンJoyを含む未発表曲を集めたアルバムFeelin' Goodがリリースされるまでは正しかった。今後、新たな音源の発掘があるかも知れないが、1965年9月22日のサンフランシスコでの演奏が、現時点で最後の録音である。だが、この日の録音はJoyのみ。しかも、なぜにサンフランシスコだったのかは不明。アルバムInfinityでは、コルトレーンの妻アリスが、12分14秒の原曲を切り刻んでオーバーダビングし、ストリングスも加えて7分55秒の曲に陳腐化してしまった。

LPのライナーノーツは岡崎正通氏が担当(1977年12月付け)。岡崎氏は各曲を日本語のタイトルにして解説している。Love - 崇愛(すうあい)、Compassion - 憐憫(れんびん)、Joy - 法悦(ほうえつ)、Consequences - 帰趨(きすう)、Serenity - 沈静(ちんせい)。さっぱり分からない。それぞれの漢字二文字の更なる解説が必要だ。それにしても、コルトレーンの死後に発表されたアルバムとは言え、このジャケットは「黄金のカルテット」に極めて失礼で、これまた陳腐である。

1. Love
2. Compassion
3. Joy
4. Consequences
5. Serenity
6. Joy [alternate version]

John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Tracks 1 - 5
Recorded on September 2, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 6
Recorded on September 22, 1965 at Coast Recorders, San Francisco, CA.