John Coltrane / Winner's Circle

ダウンビート誌が1957年8月に発表した国際批評家投票の結果に基づいて集められたミュージシャンによるアルバム。タイトルWinner's Circleの所以はそこにあるのだが、決して第一位ばかりが並んでいる訳ではない。実際に、テナーサックス部門ではロリンズが1位、コルトレーンは2位であり、ロリンズはこのアルバムにはいない。ベース部門ではオスカー・ペティフォードが1位でアルバム全8曲に参加。ペティフォード名義のアルバムであっても不思議ではない。ジャケット裏の参加ミュージシャンを見ても、ペティフォードが先頭に位置し、コルトレーンは最下位である。

だが、日本のレコード会社(LP:トリオレコード、CD:ウルトラ・ヴァイヴ)はコルトレーン名義として発売。コルトレーンは8曲中の4曲のみ参加。しかも、フロントが4管構成(テナーサックス、バリトンサックス、トランペット、トロンボーン)なので、コルトレーンの出番は極めて少ない。もし、ロリンズが1曲でも参加していれば、邦題を「ロリンズとコルトレーンの対決」とでもしたのだろうか。

1. Lazy Afternoon
2. Not So Sleepy
3. Seabreeze
4. Love And The Weather
5. She Didn't Say Yes
6. If I'm Lucky (I'll Be The One)
7. At Home With The Blues
8. Turtle Walk

Art Farmer - trumpet (tracks 1,3,5,7)
Rolf Kuhn - clarinet (tracks 1,3,5,7)
Kenny Burrell - guitar (tracks 1,3,5,7)
John Coltrane - tenor saxophone (tracks 2,4,6,8)
Al Cohn - baritone saxophone (tracks 2,4,6,8)
Donald Byrd - trumpet (tracks 2,4,6,8)
Frank Rehak - trombone (tracks 2,4,6,8)
Gene Quill - alto saxophone (track 2)
Freddie Green - guitar (track 2)
Eddie Costa - vibraphone (tracks 1,3,5), piano (tracks 2,4,6-8)
Oscar Pettiford - bass
Ed Thigpen - drums (tracks 1,3-8)

Recorded in September 1957 in NYC.

John Coltrane / Traneing In

1958年初頭に発売されたときのタイトルはJohn Coltrane with the Red Garland Trioだった。そして、61年の再発時にはジャケットを差し替え、タイトルがTraneing Inに変わった。プレスティッジは、なぜに一新したのだろうか。確かに、後者のほうが力強い感じのタイトルだ。61年の時点では、アトランティックからアルバムGiant Stepsがすでにリリースされていた。プレスティッジは、その勢いに乗ろうとしたと思える。

いかにもトレーニング中というコルトレーンの写真。名盤Blue Trainの3週間前の録音。Blue Trainの写真と見比べれば、違いがよく分かる。Traneing Inは「あと一歩で自分が表現したいジャズへ到達できる」という感じ。Blue Trainでは「これでいいんだ」と自分に言い聞かせている。LPのライナーノーツ(77年3月3日付け)で久保田高司氏が、プレスティッジに残した全リーダーアルバムの中で上位に入ると絶賛している。同感。

1. Traneing In
2. Slow Dance
3. Bass Blues
4. You Leave Me Breathless
5. Soft Lights And Sweet Music

John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on August 23, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / COLTRANE

コルトレーンの実質的な初リーダーアルバム。フロント一管のViolets For Your Fursが代表曲。気になるのは、たった1日だけのセッションなのに、ピアノがレッド・ガーランドからマル・ウォルドロンに交代していること。コルトレーンのディスコグラフィーには、プレスティッジの管理番号らしきものが記載されている。4曲目のStraight Streetが一番若い番号で1292。最後の番号1297が3曲目のTime Wasである。

つまり、LPで言えばウォルドロンが参加したB面を先に録音して、ガーランド参加によるA面を次に録音したのだろう。さらに、1298はアルバムLush Lifeに収録されたガーランド参加のI Hear A Rhapsodyである。憶測でしかないが、本来ならば、ガーランドがこの日のセッションを務める予定だった。だが、何らかの理由で途中から参加せざるを得なくなり、ウォルドロンに声が掛かった。ウォルドロンのピアノは、自分らしさを出しているのだが、急な呼び出しでやる気が見えてこない。ちょっと、深読みし過ぎだろうか。

1. Bakai
2. Violets For Your Furs
3. Time Was
4. Straight Street
5. While My Lady Sleeps
6. Chronic Blues

John Coltrane - tenor saxophone
Sahib Shihab - baritone saxophone (tracks 1,4,6)
Johnnie Splawn - trumpet (tracks 1,4-6)
Red Garland - piano (tracks 1-3)
Mal Waldron - piano (tracks 4-6)
Paul Chambers - bass
Albert "Tootie" Heath - drums

Recorded on May 31, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.