本田竹曠 / ふるさと - On My Mind -

ようやく手に入れることができたアルバム。2枚組中古CDで1,370円(送料別)。脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺が残り、リハビリを続ける中で2004年8月に録音。五木寛之が「命をよみがえらせる演奏」と題して、本田へ次のようにエールを送っている。

「このアルバムは、ひとりのピアニストが後世に贈る、貴重な音楽の遺産である。現在も週に三日、透析に通わなければならない本田さんの有限の命が、ピアノの弦にのり移って鳴っているような気がするのは、私だけだろうか(2004年 秋)」。そして、2006年1月12日、本田は心不全で他界。享年60。

Disc 1
1. 赤とんぼ
2. 夕焼け小焼け
3. 七つの子
4. 月の砂漠
5. 赤い靴
6. 荒城の月
7. 浜辺の歌
8. さくらさくら
9. 仰げば尊し - 父の歌(宮古高校校歌)
10. 故郷

Disc 2
1. 赤とんぼ [alternate take]
2. さくらさくら [alternate take]
3. 月の砂漠 [solo version]
4. 故郷 - 我が心のジョージア

本田竹広 - piano
米木康志 - bass (Disc-1 2, 4-9, Disc-2 2)
本田珠也 - drums, percussion (Disc-1 2-9, Disc-2 2)
Damião Gomes De Souza - percussion (Disc-1 3, 7)
小澤敏也 - percussion (Disc-1 3, 4, 5, 7)
谷山明人 - percussion (Disc-1 3, 4, 6, 7)

Recorded on 3, 7, 8 and 14 August, 2004 at Crescente Studio, Tokyo.

本田竹曠 / EASE

本田は岩手県宮古市で生まれで、国立音大ピアノ科卒であることは良く知られている。しかし、中野区立第9中学校で学んだことは知られていないだろう(どうでもいい話であるが、自分は第7中学校卒なのである)。そして、スイングジャーナル選定ゴールド・ディスクを受賞したこのアルバムに関しては、なぜか今まで全く知らなかった。スイングジャーナルを毎月欠かさず購入し、情報収集していたにもかかわらず。

いろいろと考えてみると、理由は1978年3月結成されたフュージョンバンド『ネイティブ・サン』にあることが分かった。ジャズ界にフュージョンの嵐が吹き始めた70年代半ば。スイングジャーナルの記事や広告からフュージョンに関するものは全て読み飛ばしていた。このEASE - Earthian All Star Ensembleは、ネイティブ・サンの流れを汲んでいると勝手に思ったのだろう。Amazonで別のアルバムを探していた時、中古387円と出て来たので、中身を調べずにクリックしたアルバム。それぞれが親分肌のメンバーを集めたグループだったが、この1枚で終わったようだ。全員4番バッターだと、野球はつまらないのと同じ。

1. Ease
2. Cha-Cha-Cha
3. Soque Heiliant
4. Bird In The Yard
5. Is It True
6. Mr. Monster
7. Major To Minor
8. Savani
9. Sea Dream

峰厚介 - tenor saxophone, soprano saxophone
植松孝夫 - tenor saxophone
向井滋春 - trombone
本田竹曠 - piano
岡田勉 - bass
村上寛 - drums

Recorded on September 2, 3, 5 & 10, 1992 at Music Inn Studio.

本田竹曠 / In A Sentimental Mood

アルバムMy Funny ValentineとIn A Sentimental Moodは、同日の録音で同じメンバーによるトリオ。どちらにもスタンダード曲が並ぶが、例外が3曲ある。前者にはLittle B's PoemとBlues On The Corner、後者にはOnce I Lovedというスタンダードとは言えない曲が入っている。Little B's Poemはボビー・ハッチャーソンの作品でアルバムComponentsに、Blues On The Cornerはマッコイ・タイナーの作品でアルバムThe Real McCoyにそれぞれ収録されている。一方のOnce I Lovedはアントニオ・カルロス・ジョビンの作品。マッコイは、この曲をアルバムTridentで取り上げた。

2枚のアルバムに収録されたスタンダード以外の曲から、本田が志向していたジャズが見えてくる。そして、特にマッコイに傾倒していたことが分かるのだ。上質で重厚な2枚のアルバムなのに、安易に曲名をタイトルにし、さらに2枚に分けてリリースしたことに疑問が残る。Honda Standard Plusのようなタイトルで2枚組を発売すべきだった。

1. Mr. P.C.
2. Misty
3. A Night In Tunisia
4. Body And Soul
5. Autumn Leaves
6. Once I Loved
7. In A Sentimental Mood
8. Everything Happens To Me

本田竹曠 - piano
井野信義 - bass
森山威男 - drums

Recorded on April 3 & 4, 1985 at CBS SONY Shinanomachi Studio, TOKYO.