ピアノトリオによるスタンダード集と言えば、キース・ジャレットをすぐに思い浮かべる。キースのアルバムStandards, Vol.1 & 2が録音されたのは1983年1月で、同年中にリリース。それから2年余りが過ぎた85年4月、本田竹曠がアルバムMy Funny ValentineとIn A Sentimental Moodを録音。本田がキースを意識していたかは分からないが、80年代半ばに新しい流れが沸き起こったことは事実だ。
しかしながら、決定的に違うのは、キースがピアノトリオというフォーマットの可能性を長い期間かけて徹底的に追求したのに対し、本田は残念ながら一発花火で終えてしまった。キースのトリオに比べ、より上質であり、かつ重厚さを感じるのだが…。今だから言えるのだろう、継続が前提ではなかったトリオが一瞬輝いたような、ある種の寂しさがここにある。
1. On Green Dolphin Street
2. Stella By Starlight
3. My Funny Valentine
4. Little B's Poem
5. The Shadow Of Your Smile
6. Blues On The Corner
7. My One And Only Love
8. 'Round Midnight
本田竹曠 - piano
井野信義 - bass
森山威男 - drums
Recorded on April 3 & 4, 1985 at CBS SONY Shinanomachi Studio, TOKYO.