Herbie Hancock / V.S.O.P.

ジャズという音楽が方向性を見失っていた1970年代後半。4ビートを機軸に置いたジャズをハンコックは再度演じようとした。しかし、一時的に共感は得られたものの、長続きはしなかった。それは「ビート」の問題ではなく、ジャズが持っているポテンシャルを維持できなかったと分析している。

1976年6月29日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでRetrospective of the Music of Herbie Hancock(ハービー・ハンコックの追想)というプログラムが組まれ、ハンコックが3つのグループをセット。アルバムがリリースされて間もなく、輸入盤中古LPを購入。最近、格安(送料別184円)の国内盤中古CDを見つけてしまい迷うことなく注文。収録された9曲はどれも素晴らしい。その中でも、ハンコックによるかっこいいメンバー紹介から始まるEye Of The Hurricaneは、身震いするぐらいの演奏である。V.S.O.P. = Very Special Onetime Performanceなのに、1回だけで終わらなかったと常に言われているが、この時のかっこいいメンバー紹介はV.S.O.P.なのだ。

Disc 1
1. Piano Introduction
2. Maiden Voyage
3. Nefertiti
4. Introduction Of Players / Eye Of The Hurricane

Disc 2
5. Toys
6. Introductions
7. You'll Know When You Get There
8. Hang Up Your Hang Ups
9. Spider

Tracks 1 - 4
Freddie Hubbard - trumpet
Wayne Shorter - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Tracks 5 - 7
Eddie Henderson - trumpet
Julian Priester - trombone, bass trombone
Benny Maupin - alto flute
Herbie Hancock - keyboard
Buster Williams - bass
Billy Hart - drums

Tracks 8 & 9
Bennie Maupin - soprano saxophone, tenor saxophone, lyricon
Wah Wah Watson - guitar
Ray Parker Jr. - guitar
Herbie Hancock - keyboard
Paul Jackson - bass
James Levi - drums
Kenny Nash - percussion

Recorded on June 29, 1976 at New York's City Center.

Herbie Hancock / Head Hunters

1973年録音。所有していたLPは、小倉エージ氏がライナーノーツを担当。まぁ、感想文なのだが、本作をとりあえず「ファンキー・ミュージック」と称し、以下のようにまとめている。「はたしてお堅い音楽ファンの多い日本にあっては、どれぐらいの指示が得られるものか。いや、それまたどうでもいい話、軟弱といわれようが、なんといわれようが、いいものはいいのに決まっていて、ともかくごきげんになっちゃうのであります」。

小倉氏自身は、軟弱と言われていることを恐れながら絶賛している。同年、キース・ジャレットはソロ・コンサートに臨んだ。どちらにしても、従来のジャズの枠組みを取り外そうとしたことは事実だ。本作の演奏内容はデジタル的であるものの、録音当時はまだまだアナログの時代。ヘッド・ハンターズ君の口はアナログなのである。

1. Chameleon
2. Watermelon Man
3. Sly
4. Vein Melter

Herbie Hancock - Fender Rhodes electric piano, hohner D6 clavinet, ARP odyssey synthesizer, ARP soloist synthesizer
Bennie Maupin - soprano and tenor saxophones, saxello, bass clarinet, alto flute
Paul Jackson - electric bass, marimbula
Bill Summers - congas, shekere, balafon, agogo, cabasa, hindewhu, tambourine, log drum, surdo, gankogui, beer bottle
Harvey Mason - drums

Recorded in September 1973 at Wally Heider Studios, Different Fur Trading Co., San Francisco, CA.

Herbie Hancock / Speak Like A Child

ハンコックのこのアルバムは、かなり高い評価を受けている。しかし、あらためて聴くと、アルバム全体としてのメリハリを感じない。やれることをやっただけ、という感じ。管楽器とドラムが弱い。誰も引っ張っていない。ハンコックがお客さんみたいになっている。もっと暴れていいのに。素直になり過ぎ。それが、このアルバムのコンセプトだったのだろう。

CD帯から。「BN史上、最も美しい永遠の名作。ホーン・アンサンブルに彩られた極上のピアノトリオ演奏。リリカルで瑞々しいピアニズムは時代を超えて愛される」。同時期、チック・コリアは、斬新なアルバムNow He Sings, Now He Sobsを録音。この時点では、コリアに間違いなく軍配。

1. Riot
2. Speak Like A Child
3. First Trip
4. Toys
5. Goodbye To Childhood
6. The Sorcerer

Jerry Dodgion - alto flute (except track 3)
Thad Jones - flugelhorn (except track 3)
Peter Phillips - bass trombone (except track 3)
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Mickey Roker - drums

Recorded on March 6 & 9, 1968 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.