Freddie Hubbard / Red Clay

1970年1月の3日間をかけて録音。ここに収録された4曲以外のテイクが残っているが、3日間も要したということは、試行錯誤しながら創り上げたアルバムだったと言える。ハービー・ハンコックは、エレクトリックピアノとオルガンを弾いている。アコースティックピアノもトライしたに違いないが、曲想とイメージが合わなかったのだろう。一方のロン・カーターは、自分の守備範囲外のエレクトリックベースを持ち出している。ウッドベースでは太刀打ちできない曲があったということ。

全体的に強力な演奏ながら、いま一つ気持ちが揺さぶられない。その理由は、レニー・ホワイトの浮いた雰囲気のドラムにある。ハンコックとカーターは、ホワイトのドラムに引きずられた感じがするのだ。フレディ・ハバードのディスコグラフィーによると、ホワイトとのアルバムでの共演は本作が初めてで、ジョー・ヘンダーソンも同様。3日間を要したのではなく、3日目で打ち切ったとも考えられる。トニー・ウィリアムスがドラムを叩いていれば、全く違ったアルバムになったはずだ。この録音から6年経った1976年6月にV.S.O.P.がお披露目され、77年7月には日本公演。そこでRed Clayが演奏された。今だから言えるのだが、V.S.O.P.の方が断然強力。

1. Red Clay
2. Delphia
3. Suite Sioux
4. The Intrepid Fox

Freddie Hubbard - trumpet
Joe Henderson - tenor saxophone, flute
Herbie Hancock - electric piano, organ
Ron Carter - bass, electric bass
Lenny White - drums

Recorded on January 27, 28 & 29, 1970 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Freddie Hubbard / Blue Spirits

1965年2月の2つのセッションで構成されたアルバム。CD化によって、66年3月のセッションがラスト2曲に追加された。65年の2つのセッションは、前者が8人、後者が7人というビッグ・コンボの構成で、しかもメンバーが大きく入れ替わっているため、フレディ・ハバードのトランペットの役割は相対的に薄まっている。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、この構成で何を狙ったのか。

追加された2曲を含めて、全てがフレディの作品。従って、作曲だけでなく、ビッグ・コンボを統率する意味を含めたコンポーザーとしてのフレディを聴くべきアルバム。そうなると、フレディは自分のスコアを活かすために、曲想に合わせてメンバー選定したのだろうが、その中に、ユーフォニアムとコンガを入れたことがそれほど活かされていない。特に、2月19日のセッションでのコンガは無用な感じだ。アルバムタイトルは悪くない。ジャケットも雰囲気が出ている。だが、多少まとまりに欠け、Blue Spirits(ブルーな気持ち)になってしまう。

1. Soul Surge
2. Blue Spirits
3. Outer Forces
4. Cunga Black
5. Jodo
6. The Melting Pot
7. True Colors

Tracks 1 & 4
Freddie Hubbard - trumpet
James Spaulding - alto saxophone (track 1), flute (track 4)
Joe Henderson - tenor saxophone
Harold Mabern - piano
Larry Ridley - bass
Clifford Jarvis - drums
Big Black - congas
Kiane Zawadi - euphonium
Recorded on February 19, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 2, 3 & 5
Freddie Hubbard - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
James Spaulding - alto saxophone (tracks 3,5), flute (track 2)
McCoy Tyner - piano
Bob Cranshaw - bass
Pete La Roca - drums
Kiane Zawadi - euphonium
Recorded on February 26, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 6 & 7
Freddie Hubbard - trumpet
Joe Henderson - tenor saxophone
Hosea Taylor - alto saxophone (track 6), bassoon (track 7)
Herbie Hancock - piano (track 6), celeste (track 7)
Reggie Workman - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on March 5, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Freddie Hubbard / Hub-Tones

正直、メンバーの全員が超一流ではないものの、ジャケットは超一級品。デザイナーはReid Miles(リード・マイルス)。ブルーノートのジャケットデザインを400枚以上手掛けたそうだ。そして、本作で鋭い緊張感を示しているのは、エリック・ドルフィーの雰囲気が漂うJames Spaulding(ジェームス・スポールディング)のアルトとフルート。フレディ・ハバードのトランペット一本だけでは、単調になっていたかも知れない。さらに、ハービー・ハンコックを中心にしたバックがフロント2管を見事に支えている。超一流を揃えなくても、そのアンサンブルによって深みのあるジャズを展開できる好例。

ところで、2015年2月にリリースされたボブ・ディランのアルバムShadows In The Nightは、全10曲をジャズのスタンダード曲で貫き通した。そして、ジャケットまでもブルーノート風で本作と酷似。こちらのデザイナーはGeoff Gans(ジェフ・ガンズ)。真似されるというのは、やはり超一級の証なのだ。

1. You're My Everything
2. Prophet Jennings
3. Hub-Tones
4. Lament For Booker
5. For Spee's Sake
6. You're My Everything [alternate take]
7. Hub-Tones [alternate take]
8. For Spee's Sake [alternate take]

Freddie Hubbard - trumpet
James Spaulding - alto saxophone, flute
Herbie Hancock - piano
Reggie Workman - bass
Clifford Jarvis - drums

Recorded on October 10, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.