Freddie Hubbard / Hub Cap

フレディ・ハバードは、少なからず過小評価されてきたと思っている。決して演奏がイマイチな訳ではない。ずばり、名盤に出会うことができなかっただけ。で、ここでの名盤とは売れたアルバムということ。フレディと言えば、あの〇〇アルバムだよねと言えるものがない。これは運命なのだろう。『星影のワルツ』って千昌夫だったよね的な出会いがなかった。なぜか千昌夫が浮かんできてしまった。細川たかしの『北酒場』でも、文脈を乱さないだろう。

タイトル曲Hub Capだけでなく、LuanaとOsie Maeもフレディの作品。WikipediaによるとHub Capはフレディのニックネームらしい。Osie Maeはファンキーでエネルギッシュな秀作。収録曲のバランスは悪くない。3管にせず、フレディのペット1本で勝負すれば、もっと評価を得たのではないだろうか。録音当時23歳のフレディーにその自信はなかったのか。いや、そうではなく、プロデューサーのアルフレッド・ライオンが、フレディを全面的にまだ信頼していなかった証拠と自分は捉えている。

1. Hub Cap
2. Cry Me Not
3. Luana
4. Osie Mae
5. Plexus
6. Earmon Jr.
7. Plexus [alternate take]

Freddie Hubbard - trumpet
Jimmy Heath - tenor saxophone
Julian Priester - trombone
Cedar Walton - piano
Larry Ridley - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on April 9, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Freddie Hubbard / Goin' Up

フレディ・ハバードの2作目のリーダーアルバム。全6曲中、ケニー・ドーハム作の2曲(Asiatic RaesとKarioka)を取り上げている。同業の楽器奏者(トランペッター)の作品に手を出すということは、ハバードはドーハムの演奏に尊敬の念を抱いていたのだろう。ハバードは1938年4月、ドーハム24年8月生まれである。ハバードからするとドーハムは大先輩。彼が目指していたトランペッターがドーハムだったかは知らないが、少なくとも意識していたのは事実。

ハバードがまだ22歳のときの録音。夢溢れる年齢だ。だけど、ジャケットの写真は、すでにジャズプレイヤーとしての風格がある。そして、タイトルGOIN' UPの「UP」が上昇中。ブルーノートのハバードへの期待感が示されている。

1. Asiatic Raes
2. The Changing Scene
3. Karioka
4. A Peck A Sec
5. I Wished I Knew
6. Blues For Brenda

Freddie Hubbard - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on November 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Freddie Hubbard / Open Sesame

1960年6月録音のフレディ・ハバードの初リーダーアルバム。22歳。セッションに参加したマッコイ・タイナーは21歳。マッコイがアルバムInceptionを録音するのは62年1月なので、楽器は違うもののマッコイは一歩出遅れた。フレディがすでに自分のスタイルを築きつつあるものの、ここではマッコイ節は一切出て来ない。

むしろ、このアルバムで重要な存在は、この時点で28歳のティナ・ブルックス。ティナのテナーサックスがフレディのトランペットを見事に支えている。そして、タイトル曲Open SesameとGypsy Blueを提供。この2曲がアルバム全体をブルージーな雰囲気にしている。しかし、ティナとフレディのディスコグラフィーを見ると、二人ともこれらの曲を二度と演奏していない。呪文Open Sesame(開けゴマ)は、一度だけということだろうか。

1. Open Sesame
2. But Beautiful
3. Gypsy Blue
4. All Or Nothing At All
5. One Mint Julep
6. Hub's Nub
7. Open Sesame [alternate take]
8. Gypsy Blue [alternate take]

Freddie Hubbard - trumpet
Tina Brooks - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Sam Jones - bass
Clifford Jarvis - drums

Recorded on June 19, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.