Duke Pearson / Profile

「しなやか」。このアルバムを聴いて最初に浮かんだ言葉。気負いがない。後藤雅洋氏著『一生モノのジャズ名盤500』では、「聴いていると気持ちが穏やかになってくる、和み系ブルノート・ピアノトリオの傑作」と評している。初リーダーアルバムであるのに、自分をなんとか売り出そうという商売っ気を感じさせない。1932年8月生まれなので、この録音のときはまだ27歳。落ち着きとある種の貫録さえうかがえる。そんな事を書いていたら、ジャケットに紹介文があることに気が付いた。本人とは別に、ブルーノートは商売っ気丸出しであったのだ。

a lyrical pianist...with a fine sense of time and dynamics...ideas of charity and brightness...a flowing, effortless swing.

1. Like Someone In Love
2. Black Coffee
3. Taboo
4. I'm Glad There Is You
5. Gate City Blues
6. Two Mile Run
7. Witchcraft

Duke Pearson - piano
Gene Taylor - bass
Lex Humphries - drums

Recorded on October 25, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Duke Jordan / Flight To Denmark

デューク・ジョーダンのディスコグラフィーを見ると、1962年に5回のセッションへ参加。そして、40歳になった7月17日のセッションを最後に、73年までの11年間が空白である。この期間、タクシー・ドライバーなどで生活をつないでいた。ジャズマンとして脂が乗ってくる40歳台は音楽とは無縁だったらしい。50歳になって再び声が掛かり、51歳の冬、コペンハーゲンでこのアルバムを録音。

コートに両手を突っ込んで雪の中に立つジョーダン。長かったなぁという思いだったはずだ。しかし、このアルバムFlight To Denmarkが、長い間愛される名盤になるとは、ジャケットの写真を撮った時点で本人が想像していたかどうか。LPでは全8曲だったが、CDでは別テイクが3曲、そしてジョーダン作の名曲Jorduが加わった。

1. No Problem
2. Here's That Rainy Day
3. Everything Happens To Me
4. Glad I Met Pat [take 3]
5. Glad I Met Pat [take 4]
6. How Deep Is The Ocean
7. Green Dolphin Street
8. If I Did-Would You? [take 1]
9. If I Did-Would You? [take 2]
10. Flight To Denmark
11. No Problem [take 2]
12. Jordu

Duke Jordan - piano
Mads Vinding - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on November 25 & December 2, 1973 at Sound Track, Copenhagen, Denmark.

Duke Jordan / Flight To Jordan

全曲、デューク・ジョーダンの作品。ゆったりとした時間が流れていく感覚を味わえるアルバム。ジャケットも、その流れに漂っている感じだ。だが、人生はそれほど平坦ではない。本作は、ラスト曲Si-Joyaで見事に幕を閉じる。後にNo Problem(邦題:危険な関係のブルース)となった原曲。だが、原田和典氏のライナーノーツによると、フランス映画のフィルムに提供したこの曲は、ジョーダンの名前がクレジットされなかったようだ。つまり、ジョーダンは「ジョーダンじゃないぜ!」と叫んだのだった(原田氏はそこまで書いていないが)。

学生のジャズ研時代、No Problemはよく練習した曲の1つ。馴染みやいメロディーと複雑でないコード進行。それだけに、アドリブで勝負するのは難しかった。そもそも、Si-Joyaの意味が分からないし、ブルース進行でないNo Problemが、なぜに「危険な関係のブルース」なのかも、未だに分かっていない。まぁ、そんなことはNo Problem(問題なし)で、じっくり聴けということなのだろう。

1. Flight To Jordan
2. Starbrite
3. Squawkin'
4. Deacon Joe
5. Split Quick
6. Si-Joya

Stanley Turrentine - tenor saxophone
Dizzy Reece - trumpet
Duke Jordan - piano
Reggie Workman - bass
Art Taylor - drums

Recorded on August 4, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.