Chick Corea / Piano Improvisations Vol.2

何気なく棚から取り出したアルバム。自分のブログを調べたところ、ちょうど一年前の2019年4月25日、Vol.1について書いていた。そのときは、LPのジャケット裏に載っているコリアの言葉「This music was created out of the desire to communicate and share the dream of a better life with people everywhere.(あらゆる人と共に、より豊かな人生を語り、夢を分かち合うことを願って演奏した)」は、CDではなぜか削除されているとコメントしたが、このVol.2のCDには掲載されていた。

Vol.1は組曲を含む全曲がコリアの作品であったが、Vol.2にはセロニアス・モンクのTrinkle, Tinkleとウェイン・ショーターのMasqualeroを収録(それ以外はコリアの作品)。タイトルがPiano Improvisationsであるものの、題材は必要だったということだろうか。特にMasqualeroは、1970年3月と4月のマイルスのライブアルバムIt's About That TimeとBlack Beautyでコリア自身がピアノを弾いている。名盤Return To Foreverは、このピアノソロの翌72年2月に録音。「夢を分かち合うことを願った」のかも知れないが、「自分の夢を見つけ出すことを願った」ような気がする。

1. After Noon Song
2. Song For Lee Lee
3. Song For Thad
4. Trinkle, Tinkle
5. Masqualero
6. Preparation I
7. Preparation II
8. Departure From Planet Earth
9. A New Place: Arrival, Scenery, Imps Walk, Rest

Chick Corea - piano

Recorded on April 21 & 22, 1971 at Ame Bendiksen Studio, Oslo, Norway.

Chick Corea / Piano Improvisations Vol.1

まさに奇遇である。新品ながら安価なピアノソロのCDをAmazonで続けて見つけた。かつてはLPで所有していたが、すでに手元にはなく購入。キース・ジャレットのFacing Youと、チック・コリアのこのアルバムが順に届いた。どちらも、ECMレーベルによるオスロの同じスタジオの録音で、前者が1971年11月、後者が71年4月。

優劣をつけることに意味はないが、タイトルを敢えてImprovisation(即興)としてしまったことで、チックの負けである。ジャズの本質は即興でしかないのに・・・。さらに、この即興演奏の中で、チック自身が高揚していく様を感じ取ることができない。つまり、まとまっている。「即興=破綻」という構図がどこにも表れていないのである。LPのジャケット裏にはチックの言葉が載っている(なぜか、CDでは削除)。「This music was created out of the desire to communicate and share the dream of a better life with people everywhere.(あらゆる人と共に、より豊かな人生を語り、夢を分かち合うことを願って演奏した)」。青二才のチックがここにいる。

1. Noon Song
2. Song For Sally
3. Ballad For Anna
4. Song Of The Wind
5. Sometime Ago
6. Where Are You Now? - A Suite Of Eight Pictures
6-1. Picture 1
6-2. Picture 2
6-3. Picture 3
6-4. Picture 4
6-5. Picture 5
6-6. Picture 6
6-7. Picture 7
6-8. Picture 8

Chick Corea - piano

Recorded on April 21 & 22, 1971 at Ame Bendiksen Studio, Oslo, Norway.

Chick Corea / A.R.C.

非常に完成度の高い「フリージャズ」である。と書き出してしまったが、フリージャズに完成度という尺度はそもそも合わない。フリーとは完成させないこと、とも言えるのだ。もう50年前の録音。果たして、チックはこういうジャズの形態を標榜していたのか。彼のアルバムのその後の変遷を見れば分かる。

で、このアルバムをどう捉えるか。マイルスのアルバムBitches Brewに参画しての半年後。エレクトリックの対極としてアコースティックで、しかもピアノトリオでの新境地を目論んだのかもしれない。だが、一発花火で終わった感じがする。そもそもA.R.C.が何を意味しているのか分からない。

1. Nefertiti
2. Ballad For Tillie
3. A.R.C.
4. Vedana
5. Thanatos
6. Games

Chick Corea - piano
David Holland - bass
Barry Altschul - percussion

Recorded on January 11, 12 & 13, 1971 in Ludwigsburg, West Germany.