Charles Lloyd / I Long To See You

ディランの作品Masters Of War(戦争の親玉)から始まるアルバム。その事を知って、迷わず購入した。自分が手に入れた最初のジャズのアルバムは、キースのSomewhere Beforeで、ディラン作My Back Pagesから始まるアルバムだったため。たぶん高校3年か浪人の頃だった。1966年、キースはチャールス・ロイドのグループに参加し、アルバムForest Flowerで脚光を浴びた。その二人がディランの作品を取り上げるという事は、何かの縁なのだろう。さらに、4曲目のアメリカ民謡Shenandoah(シェナンドー)は、キースがアルバムThe Melody At Night, With Youに、ディランはアルバムDown in the Grooveにそれぞれ収録している。

ロイドというミュージシャンは、非常に間口が広い。自身はジャズミュージシャンという意識があるのだろうが、ジャズという音楽を固定的に捉えていない。本作では、ウイリー・ネルソンとノラ・ジョーンズがゲスト参加。間口だけではなく人脈の広さもうかがえる。ちなみに、ディランはネルソン作のPrecious MemoriesをアルバムKnocked Out Loadedで歌っている。音楽のジャンルが違っていても、互いに触発されていることが分かる。2015年、ロイドがジャズの新たな可能性を示したアルバム。録音当時78歳。まさしく、こんなアルバムにI Long To See You(会いたかった)のだ。

1. Masters Of War
2. Of Course, Of Course
3. La Llorona
4. Shenandoah
5. Sombrero Sam
6. All My Trials
7. Last Night I Had The Strangest Dream [featuring Willie Nelson]
8. Abide With Me
9. You Are So Beautiful [featuring Norah Jones]
10. Barche Lamsel

Charles Lloyd - tenor saxophone, alto flute
Bill Frisell - guitar
Greg Leisz - steel guitar
Reuben Rogers - bass
Eric Harland - drums
Willie Nelson - guitar, vocals (track 7)
Norah Jones - vocals (track 9)

Recorded on April 28, 2015 at The Lobero Theatre, Santa Barbara, CA (except track 5).

Charles Lloyd / Wild Man Dance

2013年11月にポーランドで行なわれたジャズ・フェスティバルでの、チャールス・ロイドのライブアルバム。それ以上の詳しい情報を入手できていないが、輸入盤CDには「第10回記念フェスティバル」の記載があるので、ロイドのグループは招待公演だったのだろう。楽器構成には、ハンガリーの大型打弦楽器ツィンバロン、ギリシャ・クレタ島の弓奏楽器リラが含まれている。それぞれの名前から、地元ポーランドの楽器奏者のようだ。

さらに、ジャケット裏面にWild Man Dance Suiteとあり、このライブのためにロイドが書き下ろした組曲と想像できる。ライブ演奏でありながら、非常に緻密な構成。曲が進むにつれて、ゆっくりと熱く上昇していく。CDにきっちりと収まる75分ほどの演奏で、途中に休憩はなかったと思える。演じる側と聴く側の真剣勝負。タイミングよい拍手。ここまで書いて、ようやく詳細情報を見つけた。以下はその抜粋。

「〈ドン・ウォズが2011年にブルーノートの社長になった時に僕らに会いに来てくれて、ブルーノートに誘ってくれたんだ。僕は自分の羽をもっと広く伸ばして、新しい上昇温暖気流を見つけて羽ばたきたかったんだよ。僕のサウンドを探して、思いっきり表現する旅は終わらない。それが僕の使命〉というロイド。この組曲はフェスティバルでのプレミア・パフォーマンスで録音された。ギリシャのリラ・ハープの巨匠ソクラティス・シノプーロスとハンガリーのツィンバロムのマエストロ、ルカーチ・ミクローシも加わり、彩りと質感を添え、リズムもダイナミックに」。まぁ、自分が想像した通りのアルバム。

Wild Man Dance Suite:
1. Flying Over The Odra Valley
2. Gardner
3. Lark
4. River
5. Invitation
6. Wild Man Dance

Charles Lloyd - tenor saxophone
Gerald Clayton - piano
Joe Sanders - bass
Gerald Cleaver - drums
Socratis Sinopoulos - Greek lyra
Lukacs Miklos - cimbalom

Recorded on November 24, 2013 at Jazztopad Festival, Wroclaw Poland.

Charles Lloyd / Tone Poem

チャールス・ロイド自身の本作についてのコメントをネットで見つけた。「今、私の楽器から鳴る音や声は若い頃にはなかったものです。これらのアンサンブルは、何か新しいものを表現しようとしていて、何かより高い目標を示してくれていると思っています。様々な問題が取り巻くこの世界の中で、声を上げずに傷ついている人がたくさんいます。そういう人々に音楽を届けたいのです。地球に無毒で無害でありながら何かに酔いしれることは、曲にして、音にするのに値する素晴らしいことです」。

「地球に無毒で無害でありながら」の部分が意味不明。原文は"To be drunk while also being non-toxic and non-harmful to the world is a contribution worth making, a song worth singing."なので、「この世に毒をもたらさずに酔いしれるのは、曲をつくり、歌い続けることです」という感じ。

それよりも、ブルーノートからのリリースにもかかわらず、詳細な録音データが見つからない。特に7曲目のAy Amorはライブと表記されているのだが、いつどこでの演奏なのか分からない。このことに関しては、有毒なアルバムである。

1. Peace
2. Ramblin
3. Anthem
4. Dismal Swamp
5. Tone Poem
6. Monk’s Mood
7. Ay Amor [Live]
8. Lady Gabor
9. Prayer

Charles Lloyd - tenor saxophone, flute
Bill Frisell - guitar
Greg Leisz - pedal steel guitar
Rueben Rogers - bass
Eric Harland - drums

Released on March 12th, 2021.