スイングジャーナル 1968年3月号

表紙はマックス・ローチ。そして、特集記事は「ソニー・ロリンズ・ジャパン」。1月23日にロリンズは、横浜市鶴見の曹洞宗大本山總持寺を訪れ坐禅修行を行った。その時の記事から感じられるのはロリンズの迷い。「最近は、あまり演奏活動はしていないので、私は現在レギュラー・グループを持っていない。だから、今回の面々も、日本公演のためにかき集めた」と。結局、この年の来日公演はアルバムとして製作されなかった。

ロリンズより重要なのはオーティス・レディングの記事。「リズム&ブルース界最大のホープと目されソウルの王様とさわがれていた歌手オーティス・レディングが、去る12月10日に自家用機でウイスコンシン州のマジソンに近いモノマ湖の上空を飛行中、機体に異常をきたし、そのまま氷の張りつめた湖上につっこみ一瞬のうちにかえらぬ人となった。享年26」。そして、四谷ジャズ喫茶『いーぐる』の開店。

スイングジャーナル 1968年2月号

第一回ジャズ・ディスク大賞決定。大賞はオーネット・コールマンのアルバムAt The Golden Circle Stockholm Vol.1で、油井正一氏がレビューを書いている。油井氏自身は、このアルバムに10点満点中の2点しか与えなかった。その理由は、1966年度のベストであって、67年度ではないということ。つまり、66年度中に輸入盤がすでに出回っていて、国内盤は67年度になってリリースされた訳だ。「過去1年間(1967年1月新譜~12月新譜)に日本のレコード会社から発売されたジャズレコード(直輸入盤を含む)が選定の対象」という選定基準に一石を投じたのである。そして、デューク・エリントンが特別賞。ベスト10にエリントンのアルバムが3枚選ばれたため。本号の表紙も飾ることになった。

別項として、ミンガスと秋吉敏子のツーショットを見つけた。残念ながら、このショットについてのコメントは書かれていない。ベースを抱えるミンガスと本棚が背景。ミンガス宅でのセッション前の打ち合わせだった感じだ。

スイングジャーナル 1968年1月号

ジャズ・ディスク大賞が発足。「過去1年間(1967年1月新譜~12月新譜)に日本のレコード会社から発売されたジャズレコード(直輸入盤を含む)が選定の対象」。ここまでは問題ない。「本誌委嘱のジャズ・ディスク大賞候補選出委員会によって選出された候補レコードより本誌月評担当者全員の記名投票によって受賞レコードを選定」。対象をある程度絞らないと、評価が分散し集約できない可能性があるので、ここは致し方ない。

問題は、候補選出メンバー9名と月評担当者18名。前者全員は後者にも属している。つまり、候補を選出したにもかかわらず投票できる仕組み。残りの月評担当者9名は縛りの中に置かれてしまっている。ディスク大賞は、その後も大きなインパクトがあったが、この仕組みで出発にしたことに大きな失敗があった。候補の選出はスイングジャーナルの責任を持って、編集長が行うべきだったのだ。