Bill Evans / Loose Blues

録音は1962年8月だが、リリースは82年。64年にリバーサイド・レーベルが倒産し、テープがお蔵入りしてしまったのだ。プロデューサーだったオリン・キープニュースが、マイルストーン・レーベルからの発売にようやく漕ぎつけた。そういう理由があって、ビル・エバンスの中では超マイナー的なアルバム。

メンバーにズート・シムズが入っていることに注目。他はジム・ホール、ロン・カーター、フィリー・ジョー・ジョーンズ。エバンスのピアノを聴くというより、この一期一会的な構成でのコンボに耳を傾けたい。全曲がエバンスの作品。アルバムタイトルはLoose Bluesなのに、1曲目と、その別テイクの2曲目はLoose Blooseという曲名。そんなややこしいこともあって、なおさらマイナーにしてしまっている。

1. Loose Bloose
2. Loose Bloose [alternate take]
3. Time Remembered
4. Funkallero
5. My Bells
6. There Came You
7. Fudgesickle Built For Four
8. Fun Ride

Zoot Sims - tenor saxophone
Jim Hall - guitar
Bill Evans - piano
Ron Carter - bass
Philly Joe Jones - drums

Tracks 1 - 4 & 7
Recorded on August 21, 1962 at Nola's Penthouse Sound Studios, NYC.

Tracks 5, 6 & 8
Recorded on August 22, 1962 at Nola's Penthouse Sound Studios, NYC.

Bill Evans / Interplay

何を主張しているのかさっぱり分からない不思議なイラストのジャケット。さらに、イラストの上には、アルバムの解説が書かれている。レコードやCDの帯に相当する部分。1962年7月録音で、63年6月リリースの本作。原文を下記に載せたが、そこには「偉大なジャズピアニスト」とある。エバンスが見事に開花したのは、59年8月リリースのマイルスのアルバムKind Of Blueだろう。それから、数年しか経っていないのに「偉大」とはちょっと大げさ。

さらには、「トリオではなく、エバンスが4人のメンバーとのインタープレイにより、注目すべきアルバムを創り上げた」と結んでいる。プロデューサーはオリン・キープニュース。ヘンテコなイラストと解説文で、何とか注目を浴びたいと言ういやらしさが伝わってくるアルバム。

For the first time, the great jazz pianist is heard in a new context - as leader of a group larger than his customary trio. Evans' interplay with four colleagues here - each of them one of Bill's personal favorites on his instrument - creates a most unusual and remarkable album.

1. You And The Night And The Music
2. When You Wish Upon A Star
3. I'll Never Smile Again [take 7]
4. I'll Never Smile Again [take 6]
5. Interplay
6. You Go To My Head
7. Wrap Your Troubles In Dreams

Freddie Hubbard - trumpet
Jim Hall - guitar
Bill Evans - piano
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on July 16, 1962 at Sound Makers Studio, NYC.

Bill Evans / How My Heart Sings!

1962年5月と6月の3回のセッションは、アルバムMoonbeamsとHow My Heart Sings!に分けられ、前者は62年12月、後者は64年1月にリリースされた。1年余りの期間を空けたのはリバーサイドの販売戦略だったのだろう。しかし、62年7月録音のリバーサイドのアルバムInterplayは63年6月リリース。となると、本作は、Moonbeamsから漏れた音源で構成したと考えるのが自然なのだ。

そして、Interplayの録音後に、エバンスはヴァーヴと契約。リバーサイドと契約した枚数分の録音をさっさと終わらせたかったのが、エバンスの本音だろう。だからこそ、3回のセッションで2枚分を録音したことになる。Bill Grauer(ビル・グラウアー)とOrrin Keepnews(オリン・キープニュース)が1953年に設立したリバーサイドは、グラウアーが1963年末に心臓発作で急死し、1964年夏に倒産。エバンスは絶妙なタイミングでリバーサイドを去ったことになる。

1. How My Heart Sings
2. I Should Care
3. In Your Own Sweet Way [take 1]
4. In Your Own Sweet Way [take 2]
5. Walkin' Up
6. Summertime
7. 34 Skidoo
8. Ev'rything I Love
9. Show-Type Tune

Bill Evans - piano
Chuck Israels - bass
Paul Motian - drums

Recorded on May 17 & 29 and June 5, 1962 at Sound Makers Studio, NYC.