Bill Evans / At Shelly's Manne-Hole

杉田宏樹氏のライナーノーツ(2015年8月付け)には「本作はすでにヴァーヴへのリーダー録音を行なっていたエバンスが、リバーサイドとの契約を満了するために吹き込んだ最終アルバム」と解説している。ここでのリーダー録音とは、多重録音のアルバムConversations with Myself(1963年2月6日と9日、5月20日録音)を指しているのだろう。多重録音という実験を試みながら、契約履行という悩みを抱えていたことになる。

すでにShelly's Manne-Holeでのライブ日程は決まっていて、それを録音したのか。それとも、アルバムを作らなければならないので、ライブハウスを模索したのか。いずれにしても、プロデューサーのオリン・キープニュースが画策したのだろう。そんなバックグラウンドを知ると、ここでのエバンスのピアノからは、義務を果たせたと言う安堵が何となく伝わってくるのだ。

1. Isn't It Romantic?
2. The Boy Next Door
3. Wonder Why
4. Swedish Pastry
5. Our Love Is Here To Stay
6. 'Round Midnight
7. Stella By Starlight
8. Blues In "F"
9. All The Things You Are

Bill Evans - piano
Chuck Israels - bass
Larry Bunker - drums

Recorded on May 30 & 31, 1963 at Shelly's Manne-Hole, Hollywood, CA.

Bill Evans / The Solo Sessions Vol.2

1963年1月10日のスタジオでのソロ演奏を、どのようにして2枚のアルバムに分けたのだろうか。What Kind Of Fool Am I?の2つのテイクが、それぞれに収められているので、演奏した順に分けたはずはない。あくまでもイメージであるが、Vol.1は成り行き、Vol.2は事前の構想があったように感じてしまう。

2曲目の「サンタが街にやってくる」を成り行きで弾いたとは思えない。1964年8月録音のモニカ・ゼタールンドのアルバムWaltz For Debbyでは、この曲が収録され、しかもエバンスは歌っているのだ。

1. All The Things You Are
2. Santa Claus Is Coming To Town
3. I Loves You Porgy
4. What Kind Of Fool Am I? [take 2]
5. Love Is Here To Stay
6. Ornithology
7. Medley: Autumn In New York / How About You?

Bill Evans - piano

Recorded on January 10, 1963 at Sound Makers Studio, NYC.

Bill Evans / The Solo Sessions Vol.1

1963年1月10日、スタジオでのピアノソロに臨んだビル・エバンス。メドレーを含んで全13曲が2枚のアルバムに分かれてリリースされた。録音の前に、どれだけ構想を練っていたのだろうか。エバンスにとっては何度となく演奏してきた曲が並んでいる。言葉は悪いが、いわゆる「手癖」で演奏したような気がしてならない。

一曲一曲の質は高いが、アルバム全体を見ると単に結果を並べた感じ。そもそも、ソロでのスタジオ録音は、やり直しが何度でも許される。アルバムのリリースは、エバンスの死後9年経った1989年。少なくとも、エバンス自身が納得のいく演奏ではなかったことを物語っている。

1. What Kind Of Fool Am I? [take 1]
2. Medley: My Favorite Things / Easy To Love / Baubles, Bangles & Beads
3. When I Fall In Love
4. Medley: Spartacus Love Theme / Nardis
5. Everything Happens To Me
6. April In Paris

Bill Evans - piano

Recorded on January 10, 1963 at Sound Makers Studio, NYC.