Bud Powell / At The Golden Circle Vol.2

Vol.1と同日の1962年4月19日のライブ演奏だが、よりリラックスしている感じ。演奏が進み、お客さんもお酒が進んだのだろうか。Vol.2は会場の反応もよく、パウエル自身が乗ってきたと推測したい。ベースとドラムはストックホルムの地元ミュージシャンなので、リハーサルは入念にしたと思うが、パウエルは曲を重ねることで、ベースとドラムの手癖もだいぶ掴んだのだろう。

このVol.2では、2曲目のLike Someone In Loveが聴きどころ。ゆったりとしたピアノソロでスタートし、1コーラス弾き終えると、ベースとドラムが自然に入ってくる。勝手な想像だが、19日のライブは2部構成。1部の終わりが1曲目のHackensack(LPではVol.1の最終曲)で、2部の始まりがLike Someone In Loveだった。休憩のあとに、パウエルが気持ちを抑えながらピアノソロでスタート。

1. Hackensack
2. Like Someone In Love
3. I Hear Music
4. Moose The Mooche
5. Blues In The Closet
6. Star Eyes

Bud Powell - piano
Torbjorn Hultcrantz - bass
Sune Spangberg - drums

Recorded on April 19, 1962 at Golden Circle, Stockholm, Sweden.

Bud Powell / At The Golden Circle Vol.1

バド・パウエルのゴールデン・サークルでの1962年4月のライブ演奏が、5枚のLPに分散されてリリースされたのは83年頃だったろうか。パウエルを聴き込んでいなかった自分としては、聴かねば!という思いから、続けさまに5枚を買い込んだ記憶がある。だが、パウエルの魅力が少しずつ分かってくると、このライブは躍動感に欠ける演奏であることが見えてきた。

しかし、パウエルというジャズピアニストを追いかけるならば、必要不可欠なアルバムだろう。Vol.1とVol.2が4月19日、Vol.3からVol.5が4月23日の録音で全25曲(重複4曲)。CD化に際して、Vol.1の先頭にSwedish PastryとThere'll Never Be Another Youの2曲を新たに追加し、Vol.1の最終曲HackensackがVol.2の先頭に移って、全27曲となった。2月初めに5枚のCDをまとめて注文したが、いまだにVol.2, 3, 4は届いていない。

あるサイトから下記の情報を入手。このアルバムが収録された時にゴールデン・サークルはオープンし、パウエルと3週間の契約を結んだそうだ。だが、67年には店を閉めている。店の雰囲気を示す写真がないかと調べたものの、未だに見つからず。ちなみに、ゴールデン・サークルというとオーネット・コールマンのライブアルバムがすぐに思い付くが、その録音は65年12月。

A new place for jazz in Stockholm was Gyllene Cirkeln (The Golden Circle). It opened in april 1962 with a three weeks long engagement by Bud Powell.

1. Swedish Pastry
2. There'll Never Be Another You
3. Move
4. Just A Gigolo
5. Relaxin' At Camarillo
6. I Remember Clifford
7. Reets And I

Bud Powell - piano
Torbjorn Hultcrantz - bass
Sune Spangberg - drums

Recorded on April 19, 1962 at Golden Circle, Stockholm, Sweden.

Bud Powell / The Scene Changes

一曲目の「クレオパトラの夢」で有名なアルバム。「名盤」とは言えないが、「愛聴盤」である。全曲がパウエルのオリジナル曲。1958年12月29日のたった一日で、一気に録音を終えてしまったことが凄い。この3人の集中力に脱帽。ジャズ喫茶ではA面のリクエストが圧倒的に多かったはずだ。CDではボーナストラックが追加されたが、LP最終トラックのタイトル曲The Scene Changesは、クレオパトラの陰に隠れてしまっている。

パウエルのディスコグラフィーによると、このThe Scene Changesから録音をスタートさせている。本作を録音後、パウエルは活動の拠点をフランスに移した。つまり、状況を変えようという意思の表れと捉えることができるのだ。だが、少なくとも日本では「クレオパトラの夢」が入ったアルバムとして定着。蛇足ながら、ジャケットでパウエルの横に写っているのは、パウエルの息子で当時3歳だったらしい。ということは、1955年生まれ。自分とほぼ同年代なのである。

1. Cleopatra's Dream
2. Duid Deed
3. Down With It
4. Danceland
5. Borderick
6. Crossin' The Channel
7. Comin' Up
8. Gettin' There
9. The Scene Changes
10. Comin' Up [alternate take]

Bud Powell - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.