Bud Powell / The Waits

パウエルのアルバムThe Amazing Bud PowellはVol.1からVol.5まであるが、このVol.4だけはLPで所有していなかった。ジャズ雑誌で取り上げられることはほとんどなく、中古LPも出回っていなかったからだ。いつの間にか自分の中では忘れ去られたアルバム。最近、安価な中古CDを見つけ、ようやく手に入れることができた。

「名ドラマー、フィリー・ジョーとの唯一の共演盤。名曲〈バスター・ライズ・アゲイン〉他全編自作の意欲作!」とCD帯にある。パウエルのディスコグラフィーを見ると、サム・ジョーンズとの共演もこのアルバムのみ。つまり、1958年5月28日限りのピアノトリオである。全体的に鬼気迫るものはなく、良い意味でまったりと調和している。そのこと自体がアメージングだと言えるのだ。

1. Buster Rides Again
2. Sub City
3. Time Waits
4. Marmalade
5. Monopoly
6. John's Abbey
7. Dry Soul
8. Sub City [alternate master]

Bud Powell - piano
Sam Jones - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on May 28, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Bud Powell / The Amazing Bud Powell Vol.3

決して歯切れの良いピアノではないが、50年代後半のパウエルを捉える上では重要なアルバム。そして、3曲のみだがパウエル自身が望んでカーティス・フラーを参加させたらしい。それが功を奏したかは、意見の分かれるところだろう。パウエルは、自分に刺激を与えてくれる管楽器が欲しかったのではないか。それが、トランペットでなく、サックスでもなく、トロンボーンというのが、このアルバムの存在意義のような気がする。逆に5曲目のBud On Bachは、パウエルのクラシック的ソロで、練習曲でしかない。

パウエルのディスコグラフィーを見ると、カーティス・フラーとの共演はこの時限り。そして、ポール・チェンバースとは、意外にも初めての共演である。アート・テイラーとは古くからの付き合い。本作録音から約1年経った58年12月、チェンバースとテイラーによるトリオでアルバムThe Scene Changesを録音。日本人に愛され続けている名曲「クレオパトラの夢」が誕生したのは、本作があったからなのだ。

1. Some Soul
2. Blue Pearl
3. Blue Pearl [alternate take]
4. Frantic Fancies
5. Bud On Bach
6. Keepin' In The Groove
7. Idaho
8. Don't Blame Me
9. Moose The Mooche

Bud Powell - piano
Curtis Fuller - trombone (tracks 7-9)
Paul Chambers - bass (except track 5)
Art Taylor - drums (except track 5)

Recorded on August 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Bud Powell / Blue Pearl

80年代前半、未発表テープの発掘作業がさかんに行われた。その成果の一つが本作。パウエルのアルバムThe Amazing Bud Powell Vol.3は、一発録りがほとんどだったのだが、Blue Pearlのみに別テイクが存在することが分かり、発掘に成功。そして、3曲だけの45回転LPがリリースされた。

LP帯のキャッチコピー。「巨匠パウエルが〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉のコード進行にのせて綴った〈クレオパトラ〉と並ぶパウエル・スタンダード〈ブルー・パール〉幻のテイク2 遂に世界初レコード化!! 完全限定プレス1,200円」。このコピーに心揺さぶられ当時購入した次第である。現在のCDには、Blue Pearlの別テイクは収録されているので、本作の価値は全く無くなってしまった。ただ、発掘作業によって即座にアルバムがリリースされたことは、ジャズのポテンシャルが高い時代があったことを示しているのだ。

1. Blue Pearl [alternate take]
2. Blue Pearl
3. Cleopatra's Dream

Bud Powell - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on August 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 3
Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.