秋吉敏子 / In RIKUZENTAKATA

今年、購入したアルバムの中で最も印象深いアルバム。自分が社会人になった1980年のライブ。コンサート会場は陸前高田。2015年夏、震災からの復興状況を自分の目で確かめたいと、青春18きっぷの旅に出た。陸前高田などを見て回り、最後は盛岡のジャズ喫茶『ジョニー』へ。震災前は陸前高田にあったジャズ喫茶である。

そして、『ジョニー』店主の照井さんといろんな話ができた。そのご縁で、2018年4月11日の東京・板橋での穐吉敏子さんのコンサートへ。当日、コンサート会場で購入したアルバム。穐吉さんからCDにサインをいただくことができた。

1. スタジオ・J - Studio J
1. Long Yellow Road
2. Enigma
3. MC
4. I Let A Song Go Out Of My Heart
5. Two Bass Hit
6. My Elegy
7. Autumn Sea
8. Notorious Tourist From The East
9. MC
10. Tempus Fugit

Toshiko Akiyoshi - piano
Bob Bowman - bass
Joey Baron - drums

Recorded on June 13, 1980 at Rikuzentakata Shimin Kaikan Hall.

秋吉敏子 / Insights

かつて、ジャズにおいては、人種差別や民族問題に向かい合うアルバムは少なくなかった。しかし、水俣病のような社会問題を取り上げたのは、このアルバムが唯一ではないだろうか。以下は、秋吉敏子自身とレナード・フェザーによる解説からの抜粋である。

「私達音楽家は無力で、社会機構を変える事は出来ない。と同時に、日本のみならず世界に存在している、公害病をもたらす様な社会状態を無視する事は出来ない。日本から離れて居る私は、数年前始めて水俣市周辺に起こった大惨事を知ったが、これを忘れてはならぬ、という感を、その後頭から追い払う事が出来なかった。私という無力な一音楽家に出来る事は、その事を記録して残す事である。長い間掛かって、私の温床から出来上った音楽、〈ミナマタ〉は、ジャズ音楽家であるが故に、ジャズ音楽語を通じてつづった私の社会記録である(秋吉敏子)」。

「〈ミナマタ〉は、鎮魂の想いが込められた、そして静けさ、陽気さ、不安感、荒涼感といった様々な相貌をあわせ備える、際だった衝撃力をもった作品である。そしてまた、この驚くべきオーケストラによってこれまでレコーディングされたいかなる演奏よりも、作曲者の天才とミュージシャンの稀な団結力を示すものである(レナード・フェザー、訳:川嶋文丸)」。

1. スタジオ・J - Studio J
2. トランジェンス - Transience
3. すみ絵 - Sumie
4. ミナマタ - Minamata
  平和な村 - Peaceful Villag
  繁栄とその結果 - Prosperity & Consequence
  終章 - Epilogue

trumpet: Steven Huffsteter, Bobby Shew, Mike Price, Richard Cooper on tracks 1-3, Jerry Hey on tracks 4
trombone: Bill Reichenbach, Charlie Loper, Britt Woodman, Phill Teele (bass)
saxophone: Dick Spencer (alto), Gary Foster (alto), Lew Tabackin (tenor, flute), Tom Peterson (tenor), Bill Perkins (baritone)
Peter Donald - drums
Don Baldwin - bass
秋吉敏子 Toshiko Akiyoshi - piano
観世寿夫 - 謡曲 (track 4)
亀井忠雄 - 大鼓 (track 4)
鵜澤速雄 - 小鼓 (track 4)
ミチル・マリアーノ Michiru Mariano - 歌 (track 4)
堅田啓輝 - 羯鼓 (tracks 1-3)

Recorded on June 22, 23 & 24, 1976 at RCA Studio "A", Hollywood, CA.

秋吉敏子 / KOGUN

秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグバンドのデビュー作。タイトル曲の「KOGUN(孤軍)」は当時ルバング島で発見された小野田少尉をモチーフにしたと言われている。CDのライナーノーツにそのことが書かれているかと思ったが、LP発売時と同じ解説で空振りに終わった。そこで、ネットで調べたところ、横濱JAZZ PROMENADEディレクターの柴田浩一氏のインタビュー記事を発見。取材は2012年6月7日。

柴田氏の「一貫して日本人を意識した作品を書かれていますが…」という発言にこう答えている。「私は日本という文化を背負っていて、昔から鼓の音が好きで使いたいなと頭の中にあった。そこにルバング島の小野田少尉さんが見つかって孤軍ができたんです。酷い評価を受けるかと思っていたら、売れてしまいびっくりしたんです」。日本人→鼓→小野田氏→孤軍ということだった。

出典 http://jazzpro.jp/archives/yjp2012/interview_2012

1. Elegy
2. Memory
3. Kogun
4. American Ballad
5. Henpecked Old Man

Bobby Shew, John Madrid, Don Rader, Mike Price, Richard Cooper - trumpet
Charlie Loper, Jim Sawyer, Britt Woodman - trombone
Phil Teele - bass trombone
Dick Spencer, Gary Foster - alto saxophone
Lew Tabackin - tenor saxophone, flute
Tom Peterson - tenor saxophone
Bill Perkins - bass
Gene Cherico - bass
Peter Donald - drums
Toshiko Akiyoshi - piano, conductor
Scott Elsworth - voice

Recorded on April 3 & 4, 1974 at Sage & Sand Studio Hollywood, CA.