Tete Montoliu / Tete!

豪快にスイングするピアノトリオ。英文ライナーノーツの最後では、ベン・ウェブスターによるテテ・モントリューへの賛辞を紹介している。"This Spanish fellow swings like no pianist in Europe"(このスペイン野郎はヨーロッパのどのピアニストよりもスウィングするぜ)。1968年から72年の間、ウェブスターはモントリューとの共演アルバムを4枚残した。この賛辞は、それらのセッションの時のものだろう。誇張とは決して思えない。

ウェブスターとの共演から2年後、74年5月に本作はコペンハーゲンで録音。1曲目に収録されたGiant Steps(巨人の歩み)の如く、この2年間で大きく成長したモントリュー。ヨーロッパという枠を乗り越えたと言える。だが、72年に設立されたデンマークのレーベルSteepleChaseからのリリース。モントリューの真の実力が、世界的に知られるようになるまでは、時間を要したはずだ。

1. Giant Steps
2. Theme For Ernie
3. Body And Soul
4. Solar
5. I Remember Clifford
6. Hot House

Tete Montoliu - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
Albert 'Tootie' Heath - drums

Recorded on May 26, 1974 at Rosenberg Studie in Copenhagen, Denmark.

Elvin Jones / Puttin' It Together

昔からよく知っていたエルビンのピアノレストリオのアルバム。中野北口にあったジャズ喫茶『ビアズレー』で聴いた記憶がある。しかし、かつては毎週末のように通っていた新宿や渋谷のディスクユニオンで、中古LPに出会うことがなかったため、手に入れる機会を逸してしまっていた。最近になって、Amazonで新品CDをようやく発見することがきた。国内盤ではあるが、Billy Taylorによる原文ライナーノーツを掲載していて、こう始まる。

This is a most unusual trio. Each man is not only a strong, imaginative, sensitive musician, he is an adventurer. He has to be because there are no well charted courses for this kind of playing.(これは非常に特異なトリオだ。メンバーは、力強く、想像力に富み、繊細な音楽家であるだけでなく、冒険家でもある。指標のない楽器構成のため、大胆な試みを必要としたのだ。)

確かにその通りで、エルビンが描いたピアノレスの構想に、フロントのジョー・ファレル、ベースのジミー・ギャリソンが見事に応えている。どれだけの冒険ができるかを、ギャリソンはベース奏法に工夫を凝らし、ファレルはテナー・ソプラノ・フルート・ピッコロを曲毎に持ち替えて臨んでいる。ジャケットのデザインにも表れているように、Puttin' It Together(それぞれの冒険を1つにまとめ上げよう)なのである。

1. Reza
2. Sweet Little Maia
3. Keiko's Birthday March
4. Village Greene
5. Jay-Ree
6. For Heaven's Sake
7. Ginger Bread Boy

Joe Farrell - tenor saxophone (tracks 1,4,5,7), soprano saxophone (track 2), alto flute (track 6), piccolo (track 3)
Elvin Jones - drums
Jimmy Garrison - bass

Recorded on April 8, 1968 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Michel Petrucciani / Petrucciani NHØP

ミッシェル・ペトルチアーニの詳細なディスコグラフィーが見つからないので、何とも言えないが、ペデルセンと共演した音源は、このデュオアルバムだけのようだ。二人の名前で検索しても、本作しかヒットしない。だとすれば、選曲も含め入念なリハーサルをしたと想像できる。なぜなら、この2枚組CDに収められた15曲(1時間51分)が、全て完璧だからだ。しかも、数日間のライブから出来の良い演奏をピックアップしたのではなく、たった一日の演奏なのである。

所有する輸入盤CDは、フランスのレーベルDreyfus Jazzによるもの。2009年リリース。ライナーノーツもフランス語で「見る」だけだった。ところが、ページをめくると英語訳が記載されているのを見つけた。筆者はPascal Anquetilなる人物。

ライナーノーツは、We have missed Michel for over 10 years now.(ミシェルがいなくなってもう10年以上)。と始まる。さらに、こう続く。we are happy to be reunited with him again much as he used to be in this unrehearsed duet with NHØP.(NHØPとのリハーサルなしのデュエットのときと同じように、再び彼と再会できてとても幸せだ)。筆者は、このライブを体感し、さらにアルバムを聴いて感銘したということなのだろう。「リハーサルなし」という情報が信頼できるかどうか。ペデルセンも2005年4月に他界してしまったので、謎のまま。しかし、ジャケットの写真を見ると、譜面なしでの演奏は事実だろう。

※ Disc 2の4曲目と5曲目が逆であることが判明。「日々JAZZ」の読者から指摘していただいた。ジャケットの記載ミスではあるが、データベースそのものが間違っていて、iTunesに保存した際も逆になっていた(記:2025年6月30日)。

Disc 1
1. All The Things You Are
2. I Can't Get Started
3. Oleo
4. All Blues
5. Beautiful Love
6. Someday My Prince Will Come
7. Billie's Bounce
8. Autumn Leaves

Disc 2
1. St. Thomas
2. These Foolish Things
3. Stella By Starlight
4. 'Round Midnight
5. Blues In The Closet
6. Future Child
7. My Funny Valentine

Michel Petrucciani - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass

Recorded on April 18, 1994 at Copenhagen Jazzhouse, Denmark.