Earl Hines / Here Comes

アール・ハインズの名前は昔から知っていたものの、彼のアルバムは所有していなかった。では、サイドマンとしての所有アルバムはと言うと、ライ・クーダーの2枚のアルバムParadise And Lunch(1974年リリース)とJazz(78年リリース)のみ。久しぶりにParadise And Lunchを聴いて、ハインズのリーダーアルバムが聴きたくなった。そこで、ハインズのWikipediaで調べたところ、100枚ほどあることが判明。次に、Amazonで入手可能なアルバムを検索。リチャード・デイビスとエルビン・ジョーンズによるピアノトリオの本作を見つけた。程度の良い中古で580円(送料別)。

ジャズピアノの父と呼ばれるハインズのピアノだけでなく、コルトレーングループ脱退後のエルビンがピアノトリオでどんなドラムを叩くのかに興味があった。エルビンは決して前に出過ぎることなくハインズをしっかり支えている。そして、デイビスがピアノを引き立てようと見事なウォーキングベースで絡みつく。良質で温かみのあるピアノトリオのアルバムである。

ジャケットは録音終了後のスナップショットだろう。ハインズとデイビスの表情から、ご機嫌なセッションだったことが分かる。残念なのは、エルビンがドラムセットの片づけで下を向いていること。そして、アルバム全体が30分余りで終了してしまうこと。

1. Save It, Pretty Mama
2. Bye Bye Baby
3. Smoke Rings
4. Shoe Shine Boy
5. The Stanley Steamer
6. Bernie's Tune
7. Dream Of You

Earl Hines - piano
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on January 17, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Duke Ellington / The Popular Duke Ellington

1曲目の「A列車で行こう」のイントロは、ワルツのアレンジでデューク・エリントンのピアノから始まる。このイントロを聴いた瞬間、「このアルバムは上出来!まさしくポピュラー・エリントンだ」と感じた。だが、ジャズ評論家Leonard Feather(レナード・フェザー)の英文ライナーノーツは、次のように始まるのだ。

Somehow this album title seems redundant. Can anyone recall an unpopular Duke Ellington? A period in his career when he did not enjoy, at one level or another, a substantial measure of popularity?(このアルバムタイトルは、どうもすっきりしない。ポピュラーでない ― 不人気なデューク・エリントンを思い出せはしないだろう。彼が恵まれなかった時期でさえ、しっかりした人気があったはずだ)。そして、次の一文がある。

What is meant, then, by THE POPULAR DUKE ELLINGTON is that works have been selected which have endured most steadfastly through the decades.(このアルバムには、何十年にもわたって最も不動の人気を誇る作品が選ばれた)。つまり、レナード・フェザーは、"Beyond the popular"とすべきだったと言いたかったのだろう。

1. Take the "A" Train
2. I Got It Bad (And That Ain't Good)
3. Perdido
4. Mood Indigo
5. Black And Tan Fantasy
6. The Twitch
7. Solitude
8. Do Nothin' Till You Hear From Me
9. The Mooche
10. Sophisticated Lady
11. Creole Love Call

Jimmy Hamilton - tenor saxophone, clarinet
Paul Gonsalves - tenor saxophone
Russell Procope - alto saxophone, clarinet
Johnny Hodges - alto saxophone
Harry Carney - baritone saxophone
Cat Anderson, Mercer Ellington, Herb Jones, Cootie Williams - trumpet
Lawrence Brown, Buster Cooper - trombone
Chuck Connors - bass trombone
Duke Ellington - piano
John Lamb - bass
Sam Woodyard - drums

Recorded on May 9 (tracks 1, 2 & 9), May 10 (tracks 5, 6, 10 & 11) and May 11 (tracks 3, 4, 7 & 8), 1966 at RCA Hollywood Recording Studio B in Los Angeles, CA.

Tommy Flanagan / Confirmation

「Kindle読み放題」で見つけた後藤雅洋氏の著書『ゼロから分かる! ジャズ入門 知れば知るほど、面白い』。まぁ、入門書ということで自分には不要だったが、無料なので眺めてみた。すると、第6章「ジャズの常識曲」の8曲目How High The Moonで、このアルバムが次のように紹介されていた。

「“名盤の陰にフラナガンあり”と讃えられるほど、数多くの名盤に参加したフラナガンが録音したアルバム。名手G・ムラーツ(b)との美しいデュオが収録されています」。Amazonで調べてみたら、1,018円と安価だったので迷わず購入。

紹介文に嘘はないが、ライナーノーツを読むと、アルバム自体はアウトテイク集であることが判明。アルバムEclypso(1977年2月録音)とBallads & Blues(78年11月)から漏れた曲で構成されている。前者はムラーツとエルビンによるトリオ、後者はムラーツとのデュオ。従って、チャーリー・パーカー作のConfirmationというタイトルではなくTrio & Duoのようにすべきだった。ドイツの名門レーベルenjaとしては、工夫が足りなかった気がする。

1. Maybe September
2. Confirmation
3. How High The Moon
4. It Never Entered My Mind
5. Cup Bearers
6. 50-21

Tommy Flanagan - piano
George Mraz - bass
Elvin Jones – drums (except tracks 3,4)

Tracks 1, 2, 5 & 6 (outtake from the album “Eclypso”)
Recorded on February 4, 1977 at Sound Ideas, NYC.

Tracks 3 & 4 (outtake from the album “Ballads & Blues”)
Recorded on November 15, 1978 at Penthouse Studio, NYC.