Gato Barbieri / The Third World

ボブ・シールが1969年に設立した独立レーベルFlying Dutchmanは、78年の活動停止まで約100点のアルバムをリリース。そして、2017年10月に第1期30アルバム、18年1月に第2期30アルバムが国内で復刻された。ジャズのポテンシャルが下がっている時代での快挙。その中から、ガトー・バルビエリのアルバム5枚をまとめ買いした。合計は5千円也。そんなマニアがいるはずだと見込んだ販売戦略だったのかもしれない。

アルバムタイトルとなったThe Third World(第三世界)という曲は、収録されていない。つまり、この「第三世界」にガトーのポリシーが込められているということなのだろう。ジャケットにも、そんな雰囲気が感じられる。その裏面には、英文の短い解説が書いてあり、次のようなガトーのコメントを引用している。

"It was originally used by de Gaulle to represent an independent political force, a third force, between the American and Russian blocs. But after de Gaulle, Third World has come to mean the common interests of Asia, Africa and Latin America. As an Argentinian, I am part of that Third World."(この言葉は、もともとド・ゴールによってアメリカとロシアに挟まれた塊としての独立した政治勢力、第三勢力を表すために使用された。しかし、ドゴール以降、第三世界とはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの共通の利害関係を意味するようになった。アルゼンチン人である私は、第三世界の一部なんだ。)

1. Medley: Introduction / Cancion Del Llamero / Tango
2. Zelao
3. Antonio Das Mortes
4. Medley: Bachianas Brasileiras / Haleo And The Wild Rose

Gato Barbieri - tenor saxophone, flute, vocals
Roswell Rudd - trombone
Lonnie Liston Smith - piano
Charlie Haden - bass
Beaver Harris - drums
Richard Landrum - percussion

Recorded on November 24 & 25, 1969 at New York City.

Grant Green / Talkin' About!

アルバムタイトルTalkin' Aboutは、1曲目のラリー・ヤング作Talkin' About J.C.から拝借している。ジャケットには、このTalkin' Aboutを羅列。では、J.C.とは…。ライナーノーツを担当した行方均氏によれば、「もちろんジョン・コルトレーンだ」とある。レナード・フェザーの英文ライナーノーツには、”Talkin' About J.C. . . . mention of Coltrane brings to mind the first title in the album, dedicated of course to Trane.”とあるので、その焼き写しだろう。そして、ヤングのWikipediaでは「1964年にブルーノートに移籍した頃には、ジョン・コルトレーンの顕著な影響が見えるようになった」と記されている。

しかしながら、本作の2年半前、1962年2月に録音したヤングのリーダー作Groove Streetには、この曲が収録されているのだ。その時点で、コルトレーンの影響があったかもしれないが、J.C.をコルトレーンと断定して良いのだろうか。まぁ、そんなことを思いながら、グラント・グリーン、ラリー・ヤング、エルビン・ジョーンズのトリオによる濃密な演奏をあれこれとTalkin' Aboutしたくなるのだ。

1. Talkin' About J.C.
2. People
3. Luny Tune
4. You Don't Know What Love Is
5. I'm an Old Cowhand
6. Deep River

Grant Green - guitar
Larry Young - organ
Elvin Jones - drums

Recorded on September 11, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

吉田拓郎 / 今はまだ人生を語らず

このCDを手に入れることは、もう諦めていた。「ペニーレインでバーボン」の中の言葉。「つんぼ桟敷」によって生産中止となったためだ。昔から所有している2枚組LPのベストアルバム「よしだたくろう 1971-1975」には、原曲のままの「ペニーレインでバーボン」が入っているので、LPのノイズ交じりで我慢していた。

しかし、2022年12月21日。CDは約30年振りに復刻となった。なぜに、レコード会社はこの長い間封印してきたのか。そして、この時期になぜに開封したのか。その真意は明らかにされず、拓郎ファンは「つんぼ桟敷」に置かれてしまっている。また、拓郎自身のコメントも伝わって来ない。今はまだ人生を語らずということなのだろうか。

1. ペニーレインでバーボン
2. 人生を語らず
3. 世捨人唄
4. おはよう
5. シンシア
6. 三軒目の店ごと
7. 襟裳岬
8. 知識
9. 暮らし
10. 戻ってきた恋人
11. 僕の唄はサヨナラだけ
12. 贈り物

吉田拓郎 – vocal, acoustic guitar, electric bass, acoustic piano, electric guitar, blues harp
かまやつひろし – vocal (track 5)
松任谷正隆 - acoustic piano, hammond organ, electric piano, strings ensemble
石川鷹彦 - electric guitar
常富喜雄 - electric guitar, chorus, flat mandolin
矢島健 - electric guitar, chorus
村岡建 – tenor saxophone
平野肇 - drums, electric bass
村上秀一 - drums
内山修 - drums
後藤次利, 石山恵三 - electric bass
陣山俊一, 前田仁 - chorus
瀬尾一 - string part arrangement

発売 1974年12月10日