Archie Shepp / Fire Music

CD帯から。『燃える男、シェップが絶頂期に残したアバンギャルドでポップな音楽世界。波に乗るシェップを捉えたインパルス専属第2弾。マルコムXへのトリビュート曲、斬新なアレンジが施されたボサノバの名曲「イパネマの娘」等、聴きどころ満載』。

アーチー・シェップの初めての個人名義アルバムFour For Traneは、1964年8月録音。本作の録音は、それから約半年後。「絶頂期」や「波に乗る」の表現は全く適していない。むしろ、実験段階に入ったというべきだろう。アルバム全体が組曲的な構成になっていて、入念なリハーサルをやったのではないかと思う。最終曲が「イパネマの娘」で、その演奏内容はアルバムの流れに逆らっていない。タイトルFire Musicが「燃えさかる炎」をイメージしてしまうが、炎をときどき揺らす熾火の感じだ。

1. Hambone
2. Los Olvidados
3. Malcolm, Malcolm-Semper Malcolm
4. Prelude To A Kiss
5. The Girl From Ipanema

Archie Shepp - tenor saxophone
Marion Brown - alto saxophone
Ted Curson - trumpet
Joseph Orange - trombone
Reggie Johnson - double bass (tracks 1,2,4,5)
Joe Chambers - drums (tracks 1,2,4,5)
David Izenzon - double bass (track 3)
J.C. Moses - drums (track 3)

Recorded on February 16 and March 9, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Archie Shepp / Four For Trane

フロント4管でピアノレス。自由なアンサンブルを期待したくなるのだが、スコアを作り過ぎた感じだ。フロント4人が自分の出番を待っている。言ってみれば、不自由なフリージャズ。もちろんアーチー・シェップが主犯なのだが、従犯はコルトレーンとプロデューサーのボブ・シール。シェップはコルトレーンのオマージュ作品を作ろうとして、全5曲中のコルトレーン作の4曲を選んだ。それはよしとして、ジャケットにはコルトレーン。さらに、そのジャケットを開くと、打ち合わせ中のシールとシェップの横にコルトレーンが座っている。

コルトレーンのディスコグラフィーによると、アルバムCrescentは1964年4月27日と6月1日、A Love Supremeは12月9日と10日に録音。本アルバムが録音された8月は、A Love Supremeの構想を練っていた時期ではないだろうか。なので、シェップにアドバイスする余裕はなく、「好きにやればいいよ」で出来上がってしまったアルバム。

1. Syeeda's Song Flute
2. Mr. Syms
3. Cousin Mary
4. Naima
5. Rufus (Swung His Face At Last To The Wind, Then His Neck Snapped)

Archie Shepp - tenor saxophone
John Tchicai - alto saxophone
Alan Shorter - flugelhorn
Roswell Rudd - trombone
Reggie Workman - double bass
Charles Moffett - drums

Recorded on August 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Anthony Braxton / Town Hall 1972

『CDジャーナル』データベースより。「オーネット・コールマンと肩を並べるアバンギャルド系アルト奏者の1972年のライブ盤。チック・コリアとの〈サークル〉の解散後1年ほどの作品で、当時、ポスト・フリージャズとして大いに注目された」。ポスト・フリーとは具体的に何を指すのかよく分からないが、「濃いジャズ」であることは確か。音の密度が濃い訳ではなく、比重が濃い。「胃袋」で聴くジャズ。

1曲目と2曲目のフロントは、アンソニー・ブラクストンのアルトのみだが、3曲目のラストになると、ジョン・スタッブルフィールドが加わり、フロントの2人は様々な楽器を持ち替える。タウンホールの観客は、その頻繁な持ち替え作業に違和感を持ったのではないだろうか。演奏が終わり、会場からの拍手は「お疲れ様でしたね」といった感じ。

1. Composition I / Composition II
2. All The Things You Are
3. Composition III

Anthony Braxton - soprano saxophone, alto saxophone, soprano clarinet, clarinet, contrabass clarinet, flute, percussion
Dave Holland - bass
Phillip Wilson - drums (tracks 1 & 2)
John Stubblefield - tenor saxophone, flute, bass clarinet, gong, percussion (track 3)
Jeanne Lee - vocals (track 3)
Barry Altschul - percussion, marimba (track 3)

Recorded on May 22, 1972 at The Town Hall, NYC.