Andrew Hill / Point Of Departure

全5曲、アンドリュー・ヒルの作品。それら全てを完璧に表現するため、リチャード・デイビスのベース、トニー・ウィリアムスのドラム、そしてフロントを3管にしてヒルは厚みを出したかったのだろう。しかし、3管の中にエリック・ドルフィーを入れたことで、他の2管の存在が薄くなってしまった。これは、アルバム全体から受ける印象。ケニー・ドーハムやジョー・ヘンダーソンの印象が薄いのではなく、聴き終わって残るのはドルフィー独自の憂鬱な響き。それを承知でヒルはメンバーを配置したはず。

ドルフィーのディスコグラフィーを見ると、ヒルとのスタジオセッションはこのアルバムだけ。ドルフィーは、この録音の3日前にミンガスのグループでコーネル大学でのライブ演奏に参加。そして、録音3ヶ月後の6月29日にドルフィーは亡くなっている。それを考えて聴いてしまうと、ヒルにとってはPoint Of Departure(出発点)であっても、ドルフィーにとっては「帰着点」へ近づいていたことになる。

1. Refuge
2. New Monastery
3. Spectrum
4. Flight 19
5. Dedication

Joe Henderson - tenor saxophone (all tracks), flute (track 3)
Eric Dolphy - alto saxophone (tracks 1-3), bass clarinet (tracks 3-5), flute (track 3)
Kenny Dorham - trumpet
Andrew Hill - piano
Richard Davis - bass
Tony Williams - drums

Recorded on March 21, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Andrew Hill / Black Fire

ジャズ喫茶で聴きたいアルバム。つまり、大音量の暗い部屋で聴くと、いろんなイメージが湧いてくるはずだ。このアルバムに収められた曲は全てアンドリュー・ヒルの作品で、リズムや音階が想定を超えて展開していく。熱気ではなく殺気。切れ味が鋭いというより刺々しく、針で刺されるような痛みすら感じる。

ヒルは、1960年にレーベルWarwick Recordsからスタンダード曲を中心にしたファーストアルバムSo In Loveをリリースしている。恐らく、ほとんど見向きもされなかったのだろう。それから3年、楽曲の研究に没頭したのではないだろうか。そして、見事に「アンドリュー・ヒル」というブランドを創り上げた。

1. Pumpkin
2. Subterfuge
3. Black Fire
4. Cantarnos
5. Tired Trade
6. McNeil Island
7. Land Of Nod
8. Pumpkin [alternate take]
9. Black Fire [alternate take]

Joe Henderson - tenor saxophone (except tracks 2,5)
Andrew Hill - piano
Richard Davis - bass
Roy Haynes - drums (except track 6)

Recorded on November 8, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Albert Ayler / Love Cry - The Last Album

アルバート・アイラーのLPは20枚ほど所有していたが、安価なCDはあまり出回らず、所有するライブラリーの中でCD化がなかなか進まないアイラーであった。そんな中、Amazonからのメールマガジンに、アルバムLove CryとThe Last AlbumをカップリングしたインパルスのCDのアナウンス。1,108円。しかも、The Last Albumはほぼ廃盤状態にあり聴く機会がなかった。ただし、このタイトルは正確でなく、最後のスタジオ録音アルバムである。もちろん、アイラーの死後にリリース。

Love Cryは1967年8月と68年2月、The Last Albumは69年8月の録音。この半年の間に、アイラーは新たな構想を描いたのであろう。エレクトリックギターを導入し、ベースを左右のチャンネルに配置した。だが、このスタイルでの録音は一度切り。約1年後の70年11月25日。ニューヨーク市のイースト・リバーでアイラーの死体が見つかった。

1. Love Cry
2. Ghosts
3. Omega
4. Dancing Flowers
5. Bells
6. Love Flower
7. Zion Hill
8. Universal Indians
9. Untitled Duet
10. Again Comes The Rising Of The Sun
11. All Love
12. Toiling
13. Desert Blood
14. Birth Of Mirth
15. Water Music

Love Cry / Tracks 1 - 8
Albert Ayler - tenor saxophone, alto saxophone
Donald Ayler - trumpet
Call Cobbs - harpsichord
Alan Silva - bass
Milford Graves - drums

Tracks 1 - 6
Recorded on August 31, 1967 at Capitol Studios, NYC.

Tracks 7 & 8
Recorded on February 13, 1968 at Capitol Studios, NYC.

The Last Album / Tracks 9 - 15
Albert Ayler - bagpipe chanter (track 9), tenor saxophone (tracks 10-15), vocals (track 13)
Henry Vestine - electric guitar (tracks 9,12)
Bobby Few - piano (tracks 10-15)
Bill Folwell - left channel bass, Fender bass (tracks 10-15)
Stafford James - right channel bass (tracks 10-15)
Muhammad Ali - drums (tracks 10-15)
Mary Maria - vocals (track 10)
Recorded on August 26 - 29, 1969 at Plaza Sound Studios, NYC.