Charles Mingus / Three Or Four Shades Of Blues

非常に完成度の高いアルバム。だが、ミンガスの場合は、これが必ずしも褒め言葉にはならない。ミンガスは12名のメンバーを見事に統率している。これは、スコアがきっちりと書かれていたためではないだろうか。つまり、スコア通りに演奏されたという意味では完成度が高いが、メンバー同士の丁々発止のやりとりがほとんど感じられない。ミンガスは、ラリー・コリエルを含む3人のギター奏者を珍しく起用し、アルバムの一つの味付けとなっている。残念なことに、その味付けも決して刺激が強くない。

さて、ジャケットには、ゲストとミンガス・バンドの参加メンバーが小さい文字ながら記載されている。ところが、ミンガスのベースを補うように参加したロン・カーターとジョージ・ムラーツの名前がなく、マスの中の写真にも登場していない。カーターに関しては、"Ron Carter appears courtesy of Fantasy/Prestige/Milestone Records."とジャケット裏面に注釈があるので納得。カーターは1曲のみ、ムラツは3曲も参加しているのに、なぜクレジットされなかったのだろうか。ゲストではなく、ミンガスの単なる補佐役ということなのか。

1. Better Get Hit In Your Soul
2. Goodbye Pork Pie Hat
3. Noddin Ya Head Blues
4. Three Or Four Shades Of Blues
5. Nobody Knows

Ricky Ford - tenor saxophone
George Coleman - alto saxophone, tenor saxophone (tracks 1-4)
Sonny Fortune - alto saxophone (track 5)
Jack Walrath - trumpet B
Philip Catherine - guitar (tracks 1-3,5)
Larry Coryell - guitar (tracks 1-4)
John Scofield - guitar (tracks 4,5)
Bob Neloms - piano
Jimmy Rowles - piano (track 4)
Charles Mingus - bass, vocals, arranger
George Mraz - bass (tracks 1-3)
Ron Carter - bass (track 5)
Dannie Richmond - drums
Paul Jeffrey - arranger

Recorded on March 9, 10 & 11, 1977 at Atlantic Studios, NYC.

Charles Mingus / Changes Two

アルバムChanges Oneの続編。と言っても、1974年12月の3日間で2枚分のアルバムを一気に録音している。詳細なデータは見つからないが、ほとんどワンテイクで録り終えたのではないだろうか。ライナーノーツはNat Hentoff(ナット・ヘントフ)が担当し、LPには諸岡敏行氏による翻訳が掲載されていた。以下は、そこからの抜粋。

「ミンガスはこの演奏に耳を傾けながら、このアルバム、そして同時発売された姉妹盤Changes Oneを、過去行った録音の中でも最高の部類に入ると言い切った。ここには気心の知れたミュージシャン間の相互浸透、独創的なソロを有機的につなぐ素材の完璧な把握、そして集団としてのあふれるような権威がある」。ミンガス自身が太鼓判を押し、ヘントフが絶賛するアルバム。1974年1月のカーネギーホールでのライブでミンガスは完全復帰し、本作で大きな一歩を踏み出すことになった。まさしくChangesなのである。

1. Free Cell Block F, 'Tis Nazi U.S.A.
2. Orange Was The Color Of Her Dress, Then Silk Blue
3. Black Bats And Poles
4. Duke Ellington's Sound Of Love
5. For Harry Carney

George Adams - tenor saxophone
Jack Walrath - trumpet
Don Pullen - piano
Charles Mingus - bass
Dannie Richmond - drums
Marcus Belgrave - trumpet (track 4)
Jackie Paris - vocals (track 4)

Recorded on December 27, 28 & 30, 1974 at Atlantic Recording Studios, NYC.

Charles Mingus / Changes One

アーチー・シェップが1972年1月に録音したアルバムAttica Bluesは、前年71年9月9日にニューヨーク州アッティカの刑務所で起こった囚人暴動がきっかけ。このアルバムの原田和典氏によるライナーノーツには「囚人の半数以上がアフリカ系アメリカ人およびプエルトリカンだったのに対し、看守は全員白人であり、ニガー・スティックなる棍棒等でのリンチは日常茶飯事だったと伝えられる。暴動を知ったニューヨーク州知事ネルソン・ロックフェラーは州兵に武力弾圧を命じ、39人に死をもたらした」と記している。

シェップの録音から3年近く経った74年12月。ミンガスは、1曲目のRemember Rockefeller At Atticaで、この事件を忘れるなと警告を鳴らした。タイトルをChangesとしたことに、ミンガスの強い思いがあったのだと思う。シェップのアルバム、そして本作の録音から50年近くが経過した。しかし、未だに人種差別の問題は根本的になくなっていない。ミンガスは、ジャズの世界で一時代を築き上げてきた。だが、その根底には「黒人差別」があったのである。

1. Remember Rockefeller At Attica
2. Sue's Changes
3. Devil Blues
4. Duke Ellington's Sound Of Love

George Adams - tenor saxophone
Jack Walrath - trumpet
Don Pullen - piano
Charles Mingus - bass
Dannie Richmond - drums

Recorded on December 27, 28 & 30, 1974 at Atlantic Recording Studios, NYC.