Bob Dylan / Masked And Anonymous

映画『ボブ・ディランの頭のなか』のサントラ盤。この映画は最悪の評価だったらしく、日本では上映されていない模様。国内向けのDVDも見つからない。まぁ、ディランとは言え、ときには愚作を世に出してしまうのだ。2003年の出来事。

ところが・・・。いきなり真心ブラザーズによる日本語のMy Back Pagesからスタート。収録曲などを知らずに購入し、最初に聴いた時はビックリした。まさか、日本語の歌から始まるなんて思ってもみなかったのだ。そして、イタリア語によるLike A Rolling Stoneなども出てくる。ディランをどう聴くか。そんなことを意識させるアルバムでもある。そもそも、ディランが歌う言葉を日本人が全て理解できるはずがない。だが、ディランが伝えたいことは、数多く聴けば体に沁みてくる。「言葉」ではなく、「言葉を越えた感覚」で聴く感じだ。真心ブラザーズによるMy Back Pagesは、次のように始まる。

白か黒しかこの世にないと思っていたよ
だれよりも早くいい席でいい景色が見たかったんだ
僕を好きだといってくれた女たちもどこかへ消えた
ああ、あのころの僕より今のほうがずっと若いさ

「白か黒」の部分の原詩は、Lies that life is black and white Spoke from my skull.(人生とは白黒割り切れるものという虚言を頭蓋骨で語る)で、真心ブラザーズは感覚で捉えているのだ。

1. My Back Pages / Magokoro Brothers
2. Gotta Serve Somebody / Shirley Caesar
3. Crash On The Levee (Down In The Flood) / Bob Dylan
4. It's All Over Now, Baby Blue / Grateful Dead
5. Most Of The Time / Sophie Zelmani
6. On A Night Like This / Los Lobos
7. Diamond Joe / Bob Dylan
8. Like A Rolling Stone (Come Una Pietra Scalciata) / Articolo 31
9. One More Cup Of Coffee (Valley Below) / Sertab
10. If You See Her, Say Hello (Non Dirle Che Non E'Cosi') / Francesco De Gregori
11. Dixie / Bob Dylan
12. Senor (Tales Of Yankee Power) / Jerry Garcia
13. Cold Irons Bound / Bob Dylan
14. City Of Gold / The Dixie Hummingbirds

Released on July 21, 2003.

Thelonious Monk / Underground

1967年12月から68年2月までの3つのセッションによるアルバム。なぜにタイトルをUndergroundとし、それに合わせたジャケットとしたのだろうか。Wikipediaには、ジャケットについて次のように書かれている。Its cover image depicts Monk as a French Resistance fighter in the Second World War. It won the Grammy Award for Best Album Cover.(第二次世界大戦におけるフランスのレジスタンス運動家としてのモンクを描いている。グラミー賞の最優秀アルバムカバー賞を受賞)。

本作の録音スタジオは明らかになっていないが、アメリカ国内だろう。最初のセッションの1か月前、67年11月にモンクはパリでのライブアルバムを残している。恐らく、その公演で何かのヒントを得たのではないか。そして、ボブ・ディランが1975年7月にリリースしたアルバムBasement Tapesは、本作のジャケットと酷似。ディランがパクったことになるが、モンクとディランの接点はみつかっていない。そして、ボーカリストのジョン・ヘンドリックスが1曲のみに参加。モンクのディスコグラフィーによると、ヘンドリックスとの共演はこの曲のみ。これもUnderground(前衛的)な取り組みだった。

追記:「モンクとディランの接点はみつかっていない」と書いたが、『ボブ・ディラン自伝』の116ページに次の接点を見つけた。

『モンクはときどき午後の時間にブルーノートにひとりで出演し、アイヴォリー・ジョー・ハンターのような音のピアノを弾いた ― 食べかけのサンドイッチがピアノの上に置いてあった。わたしは一度、午後の時間にモンクを聴きに行き、近くの店でフォークミュージックを歌っていると話したことがある。モンクは「わたしたちはみんな、フォークミュージックをやっているのさ」と答えた。休んでいるときも、モンクは独自の活力あふれる宇宙にいた。そういうときでさえ、魔法の闇を呼び起こした』。

1. Thelonious
2. Ugly Beauty
3. Raise Four
4. Boo Boo's Birthday
5. Easy Street
6. Green Chimneys
7. In Walked Bud
8. Ugly Beauty [take 4]
9. Boo Boo's Birthday [take 2]
10. Thelonious [take 3]

Charlie Rouse - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Larry Gales - bass
Ben Riley - drums
Jon Hendricks - vocals (track 7)

Tracks 1, 3, 5, 7 & 10
Recorded on February 14, 1968.

Tracks 2, 6 & 8
Recorded on December 14, 1967.

Tracks 4 & 9
Recorded on December 21, 1967.

Phil Woods / At The Frankfurt Jazz Festival

「フィル・ウッズとERM(ヨーロピアン・リズム・マシーン)」という表記はよく見るのだが、ERMの実態を詳しく書いた解説を読んだことがない。つまり、ERMだけで活動はしていたのか、メンバーは固定的だったのか、ウッズが米国に戻った1972年後に解散したのか。本作のキャッチコピーには「噂のレア盤、ついに復刻。英国の名手Gordon Beck(ゴードン・ベック)が参加したERMが、ドイツの名門ジャズ祭で繰り広げた伝説のライブ名盤」とある。

このライブの前に録音された所有するアルバムAlive And Well In Paris(1968年録音)とWoods Notes(69年)では、ERMはピアノGeorge Gruntz(ジョルジュ・グランツ)、ベースHenri Texier(アンリ・テキシエ)、ドラムDaniel Humair(ダニエル・ユメール)という構成。なので、ベックが参加したライブではなく、グランツからの交代ということになる。そして、「ライブ名盤」とあるが、フェイドアウトしている箇所がある。1970年にLPで発売された時、致し方なく鋏を入れたのだろう。2012年のCD化では完全バージョンすべきだった。名演とは言えるが、「手抜きの名盤」となってしまった。

1. Freedom Jazz Dance
2. Ode A Jean-Louis
3. Josua
4. The Meeting

Phil Woods - alto saxophone
Gordon Beck - piano
Henri Texier - bass
Daniel Humair - drums

Recorded on March 21, 1970 at The Frankfurt Jazz Festival.