失敗作である。コルトレーン自身のバラード作品を配置しながら、ブルースを1曲入れてしまった。このことで、アルバム全体のバランスが崩れている。1964年4月27日と6月1日のスタジオ録音から抜粋された全5曲であるが、他にSong Of PraiseやFeelin' Goodという曲も演奏している。なのに、なぜにブルースを組み込まなければならなかったのか。ライナーノーツでは、そんなことに一切触れていない。
「本アルバムの演奏にはバラードでありながら通常のバラード表現の域をはるかに超えた重量感といったものがあって、それがそのままコルトレーンの音楽の精神的充実を物語っている(LP:岡崎正通氏)」。「敬虔な響きと悲哀とリラクゼーションに満ちた〈クレッセント〉は、オーヴァーでも何でもなく、"20世紀の聖歌"だと真剣に思っている(CD:高井信成氏)」。この二人にライナーノーツを書かせたことも失敗である。
1. Crescent
2. Wise One
3. Bessie's Blues
4. Lonnie's Lament
5. The Drum Thing
John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on April 27 and June 1, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.