失敗作。と思っている。1963年の時点で、コルトレーンとボーカルを結びつける理由はどこにもなかった。トレーンは一年後に録音する『至上の愛』の構想に入っていたはず。ボーカルを迎えての録音に必然性はなかったはずだ。
LPとCDのライナーノーツから。『本アルバムをプロデュースしたのはボブ・シールで、彼はジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンの間に共通する音楽性と資質を見抜いた。それが企画の勝利をもたらし、稀有な名盤を生んだといえる(岩浪洋三氏)』。『当時コルトレーンはマウスピースが気に入らず、手を加えたら一層悪くなり、急速調のプレイをやりたくても思うにまかせず、かわりのマウスピースも入手できなかった。そこで彼の悩みを知ったプロデューサーのボブ・シールがこれら(バラード、エリントン&コルトレーン、本作)の「変わった企画」を立てたのだという(青木啓氏)』。『本盤はあまりにも美しすぎて解説の言葉など全くいらない、ジョン・コルトレーン自身の激しく変化する音楽観や人生観、日常の繁雑な生活な全てを忘れさせるほどの魅力を超えた不思議な魔力さえ感じさせる美しいアルバムである(藤岡靖洋氏)』。
結局のところ、3人はハートマンとの共演の意義を語ることができていない。ホームラン・バッターが「自分に合うバッドがなかなか見つからず、バントヒットを狙いました」ってプロの仕事ではないのだ。
1. They Say It's Wonderful
2. Dedicated To You
3. My One And Only Love
4. Lush Life
5. You Are Too Beautiful
6. Autumn Serenade
John Coltrane - tenor saxophone
Johnny Hartman - vocals
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.