どんなアルバムもジャケットが第一印象。このアルバムもしかりなのだが、表と裏を並べてみるとONとOFFを強調していることが分かる。このことから、リズム重視のアルバムであることが見えてくる。その中でも聴きどころは2曲目。裏で鳴り響く手拍子?を集中して聴くと不思議な感覚になる。クレジットされていない手拍子ミュージシャンに拍手したい。以下は、マイル自叙伝②から抜粋。本作には、バッハの作曲法やコールマンの音楽が反映されていたのだ。
「ドイツの前衛作曲家カールハインツ・シュトックハウンゼンと、イギリスの作曲家ポール・バックマスターの音楽理論に興味を持ちはじめていた。ポールはバッハに熱中していたから、オレもバッハについて調べた。すると、オーネット・コールマンが言っていた。それぞれ独立して演奏される三種類か四種類のことがあるという意見が本当で、バッハもそんな作曲法をしていたことがわかった。〈オン・ザ・コーナー〉でやった音楽は、バックマスター、スライ・ストーン、ジェームス・ブラウン、それにシュトックハウンゼンのコンセプトと、オーネットの音楽から吸収したある種のコンセプト、そいつをまとめ上げたものなんだ。あの音楽の基本は、空間の扱い方にあって、ベースラインのバンプと核になっているリズムに対する、音楽的なアイデアの自由な関連づけがポイントだった」。ちなみに、バックマスターはセロで録音に参加している。
1. On The Corner; New York Girl; Thinkin' Of One Thing And Doin' Another; Vote For Miles
2. Black Satin
3. One And One
4. Helen Butte; Mr. Freedom X
Miles Davis - electric trumpet with wah-wah
Dave Liebman - soprano saxophone (track 2)
Carlos Garnett - soprano saxophone, tenor saxophone (tracks 3,4)
Chick Corea - electric piano (track 1)
Herbie Hancock - electric piano, synthesizer
Harold I. Williams - organ, synthesizer
Lonnie Liston Smith - organ (track 4)
David Creamer (tracks 2,3,4), John McLaughlin (track 1) - electric guitar
Michael Henderson - electric bass with wah wah
Collin Walcott (tracks 1,3,4), Khalil Balakrishna (track 2) - electric sitar
Bennie Maupin - bass clarinet (track 3)
Badal Roy - tabla
Jack DeJohnette, Billy Cobham, Al Foster - drums
Jabali Billy Hart - drums, bongos
James "Mtume" Foreman, Don Alias - percussion
Paul Buckmaster - cello
Recorded on June 1 & 6 and July 7, 1972 at Columbia Studio E, NYC.