このアルバムは全9曲中の8曲がモンクのピアノソロ。そして、コルトレーンとウィルバー・ウェアのベースによるトリオでのMonk's Moodが最終曲に組み込まれている(CD化でラウンド・ミッドナイトの創作過程の録音がラストに追加)。この最終曲が、本作に見事な余韻を残している。モンクらしい不協和音の連続ではないが、緊張感が溢れ、ちょっと油断すると降り注ぐ音が指の隙間から零れ落ちてしまう。
CDのライナーノーツには、スイングジャーナル1962年12月号に掲載された藤井肇氏のレビューがある。「何の掣肘(せいちゅう)も受けず、独り無我の境地にあって陶酔しているモンクの姿は、むしろ孤独を楽しむ高僧といった感が深い」。見事に確信をついた一文。このアルバムは、孤高のモンクと対峙して聴かなければならない。たとえジャズ喫茶であっても、コーヒーカップの鳴る音すら邪魔になるアルバム。ジャズを、そしてモンクを長年聴いてきて良かったと思える一枚。
1. April In Paris
2. (I Don't Stand) A Ghost Of A Chance With You
3. Functional
4. I'm Getting Sentimental Over You
5. I Should Care
6. 'Round Midnight
7. All Alone
8. Monk's Mood
9. 'Round Midnight (In Progress)
Tracks 1 - 7 & 9
Thelonious Monk - piano
Recorded on April 12, 1957 in NYC.
Track 8
John Coltrane - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Wilbur Ware - bass
Recorded on April 16, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.