ボサノバRecado Bossa Novaを中心に、ご機嫌な曲が並ぶ。バラードI See Your Face Before Meの挿入もよし。ハンク・モブレー名義のアルバムは10枚所有しているが、そのどれもがスタジ録音。モブレーのディスコグラフィーを調べてみたら、リーダーとしてのライブアルバムは極めて少なかった。ジャズ・メッセンジャーズに属していた時は、アルバムAt The Cafe Bohemia(1955年録音)やAt The Jazz Corner Of The World(59年)、マイルスの下ではAt The Blackhawk(61年)を残したのだが…。逆に言えば、そういう経験があったからこそ、一発勝負のライブアルバムの怖さを知ったのかも知れない。
しかし、本作に収録された曲をライブで演奏していれば、観客から熱い声援と拍手が乱れ飛んだことだろう。ジャケットdippin'の文字も飛び跳ね、「i」の上のポイントも回転しているのに。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、Live Dippin'の制作をモブレーに提案し、モブレーはやんわりと断ったと想像してしまう。
1. The Dip
2. Recado Bossa Nova
3. The Break Through
4. The Vamp
5. I See Your Face Before Me
6. Ballin'
Hank Mobley - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Harold Mabern, Jr. - piano
Larry Ridley - bass
Billy Higgins - drums
Recorded on June 18, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.