ズート・シムズ。この名前の響きからして実に渋い。タイトルも渋さを出すために「ズート」としてしまった。全編、ズートのテナーサックスが鳴り響くが、一曲だけアルトサックスに持ち替えている。それが、「ボヘミア・アフター・ダーク」。直球を7つ投げて、変化球を1つ。この変化球が、見事に決まっている。あっさりと3分半で終わっていることも、計算済みだったのだろう。
この曲は、ベーシストOscar Pettiford(オスカー・ペティフォード)の作品。1955年8月にアルバムAnother Oneに収録している。そして、ドラマーKenny Clarke(ケニー・クラーク)も同年6月にアルバムBohemia After Darkに収録。どちらもフロント陣を5管ないし4管と厚くして録音。二つのアルバムは55年内にリリース。シムズは二人と共演の経験があるから、アルバムは聴いていたのだろう。一本のアルトで軽い感じを出そうとしたに違いない。
1. 9:20 Special
2. The Man I Love
3. 55th And State
4. Blue Room
5. Gus's Blues
6. That Old Feeling
7. Bohemia After Dark
8. Woody'n You
Zoot Sims - tenor saxophone, alto saxophone
John Williams - piano
Knobby Totah - bass
Gus Johnson - drums
Recorded on October 12, 1956 in Chicago, IL.