中古紙ジャケCDが手元に届いて目を疑った。LPより曲数が少ない、しかも曲目が異なる。ただしジャケットは全く同じ。LPとCDのライナーノーツを読み比べながら、状況が見えて来た。所有していたLPはオリジナル盤ではなかったのだ。このアルバムは、スイングジャーナル主催ジャズ・ディスク大賞「日本ジャズ賞」を受賞。来日していたチャーリー・マリアーノは、1968年1月16日の授賞式に渡辺貞夫と出席。同月21日に受賞記念のセッションを行なった。ドラマーが富樫雅彦から渡辺文男に交代したが、他のメンバーは同じ。LPのB面がこのセッションに入れ替えられ、再発されたことになる。LPのライナーノーツを担当した油井正一氏は、このことに一切触れていない(1974年8月付け)。これは手抜きだ。そして、CD化に際しては、本来のアルバムに受賞記念セッションを加えるべきだった。
1965年11月にバークリー音楽院から帰国し、約1年半後に録音されたアルバム。自信をつけたナベサダと、これからの自分のジャズに一種の迷いがあるナベサダが交錯している感じだ。自分のジャズではなく、今求められているジャズを演じるナベサダがここにいる。ここが、ナベサダとしての本当の意味での出発点になったのだと思う。
CD
1. Iberian Waltz
2. I Thought About You
3. Stone Garden Of Ryoanji
4. God Has Mercy
LP
1. Iberian Waltz
2. I Thought About You
3. Palisades
4. Lament
5. You Are My Heart's Delight
CD: All Tracks, LP: Tracks 1 & 2
渡辺貞夫 - alto saxophone (except track 2), flute (track 3), indian-flute (track 4)
Charlie Mariano - alto saxophone, nagasvaram (track 4)
菊地雅章 - piano
原田政長 - bass
富樫雅彦 - drums
Recorded on June 28, 1967 at Teichiku Kaikan Studio, Tokyo.
LP: Tracks 3, 4 & 5
渡辺貞夫 - alto saxophone
Charlie Mariano - alto saxophone (except track 3)
菊地雅章 - piano
原田政長 - bass
渡辺文男 - drums
Recorded on January 21, 1968 at Teichiku Kaikan Studio, Tokyo.