富樫雅彦 / 双晶

LPのライナーノーツを担当した副島輝人氏が次のように紹介している。《富樫・佐藤は全くのフリー・フォームで、テーマもキイも決めない。任意に音を出し初め、反応し合っていく。360度の自由なアドリブと、根源的に完璧なインタープレイがそこにある。事実、二人は全く何の打ち合わせもなくステージに上がった。「そろそろ演ろうか?」「ウン」演奏後、何人かの聴衆から、「どのくらい練習したんですか?」と質問があった。佐藤は笑いながら答えた。「四年前、ESSGの頃、たっぷり練習しました」》。

ESSGとはExperimental Sound Space Group(実験的音響空間集団)のことで、その四年前、富樫はまだ下半身不随でなかった。その後、二人の間には空白の時が流れ、富樫は新たな演奏スタイルで、このライブに臨んだのである。「何の打ち合わせもなく」が事実であれば、このデュオは実験に入る前のチューニングとでも言うしかない。LP全体で30分余り。50分を超える完全盤CDがリリースされているが、そんなにも長くチューニングを聴く必要はないのだ。

1. 輝き - Radiance
2. 再び活発に - Renovation
3. 往事を回想して - Reminisce

佐藤允彦 - piano
富樫雅彦 - percussion

録音 1973年7月7日 / アートシアター新宿文化劇場

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