Ray Brown / Something For Lester

CD帯のキャッチコピー。「ベースの重鎮レイ・ブラウンがご機嫌なメンバーと吹き込んだ寛ぎのトリオアルバム」。確かにその通りで、楽しめるピアノトリオであり、ベースのテクニックも堪能できるが、張り詰めた緊張感がない。エルビン・ジョーンズのディスコグラフィーを見ると、全7曲を3日間かけて録音している。つまり、入念な音合わせがあったのだろう。そのことによって、角が取れてしまったような気がする。サプライズは期待できないアルバム。

ところがである、録音データを読み込むとサプライズがあった。そもそも、アルバムタイトルのLesterとは誰なのか。このアルバムのプロデューサーの一人が、コンテンポラリー・レコードの創設者であるLester Koenig(レスター・ケーニッヒ)であることを発見。ケーニッヒは、1977年11月20日に心臓発作で亡くなっている。本アルバムの録音から5ヶ月後、リリース前である。つまり、ケーニッヒ追悼アルバムの位置付けとなり、ジャケット写真はケーニッヒ没後に撮ったと思われる。レイ・ブラウンの表情が何か意味ありげだ。

1. Ojos De Rojo
2. Slippery
3. Something In Common
4. Love Walked In
5. Georgia On My Mind
6. Little Girl Blue
7. Sister Sadie

Cedar Walton - piano
Ray Brown - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on June 22 (tracks 1,2), 23 (tracks 3,7) & 24 (tracks 4-6), 1977 at Contemporary's Studio, Los Angeles, CA.

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