邦題は『未知との対話 ‐ 独自・対話・そして鼎談』。そもそも「鼎談」を「ていだん」と読めるジャズファン、もしくはエバンスファンは何人いるのだろうか。仮に読めたとしても、「三人での会話」という意味を知っている人は、その何パーセントなのか。ましてや、このアルバムが何故に「三人」なのかはもうppmの世界だろう。この血迷った邦題を付けたレコード会社の担当者は、売ることよりも自己満足に重点を置いたとしか思えない。
血迷ったのはエバンスも同じ。聴き手に何かを伝えることより、多重録音で、しかもフェンダー・ローズを持ち込んでの単なるお遊びである。ところで、ジャケットをそれっぽく仕上げているが、正面と横顔の二人のエバンスは会話をしていない。NewではなくNo Conversationといった感じだ。エバンスが1980年9月に他界する2年半前の録音。死をわずかに予感し遺書的なものを創り上げたかったのだろうか。ところで、オルガンまでも持ち込めば、四つの鍵盤での会話となり、邦題には「さらには会談」と付け加えたに違いない。
1. Song For Helen
2. Nobody Else But Me
3. Maxine
4. For Nenette
5. I Love My Wife
6. Remembering The Rain
7. After You
8. Reflections In D
Bill Evans - piano, keyboards
Recorded in January 26 - February 16, 1978.