Gerry Mulligan / Mulligan Meets Monk

バリトンサックスの名手ジェリー・マリガンがモンクに闘いを挑んだ一枚。なのだが、凍り付くような緊張感はなく、それぞれが自分自身を表現しながら、セッションを楽しんでいる感じ。録音当時、マリガン30歳、モンクは40歳間近であった。10年離れた先輩後輩だが、互いを認め評価していたのではないかと思う。モンクのディスコグラフィーを見ると、モンクとマリガンの共演は、1955年7月17日のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのマイルスグループへの参加。それ以外は、本アルバムしかない。

CD化で別テイクが3曲追加された。その中の1曲であるマリガン作のDecidedlyは、LPではtake 4が採用され、CDにはtake 5が追加。テイクを重ね、4回目のセッションでは満足できず、さらに続けた訳である。だが、必ずしもテイク毎に完成度が高まるのではなく、緊張感を継続するのは難しいということが分かる。

LPのライナーノーツは佐藤秀樹氏が担当しているが、1曲目の'Round Midnightに関しては、油井正一氏の次の文章を引用している。「この曲におけるマリガンには明らかに作戦が感じられます。最初は憂鬱なムードに始まって、中頃以後は背後のモンクが何とかして暴走をとめようとピアノを叩き出している姿が目に浮かびますが、完全に乗った快活なマリガン・ペースに引きずりこみ、他の同曲の演奏にみられなかった成果を収めている点で、珍重すべきセッションです」。こんな深い聴き方は、まだ自分にはできない。

1. 'Round Midnight
2. Rhythm-A-Ning
3. Sweet And Lovely
4. Decidedly [take 4]
5. Decidedly [take 5]
6. Straight, No Chaser [take 3]
7. Straight, No Chaser [take 1]
8. I Mean You [take 4]
9. I Mean You [take 2]

Gerry Mulligan - baritone saxophone
Thelonious Monk - piano
Wilbur Ware - double bass
Shadow Wilson - drums

Recorded on August 12 & 13, 1957 in NYC.

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